鳥取砂丘の草原化に関する研究

日本最大級の砂丘である鳥取砂丘では、防砂林の植栽、河川の改修などの影響を受け、植物の侵入と定着が進み、草原化・森林化が起こっています。しかし、非常に貧栄養であるとされる砂丘の土壌に植物が侵入・定着できる機構については不明な点が多数残されています。本研究では、砂丘の土壌養分条件とその形成機構、砂丘に侵入・定着する植物の特性などに関して生態学的な視点からの研究を進めています。また、砂丘に生息する植食性動物についても調査を試みています。本研究は、鳥取大学・三重大学等との共同研究として実施しています。

植物の侵入が進む鳥取砂丘の一部
観光地として利用されている部分では
ボランティアなどによる除草が行われている

竹林の管理再開が生態系外部に及ぼす影響に関する研究

近年、特に都市近郊においてモウソウチク林の拡大、周辺の森林などへの竹の侵入、森林の竹林化が問題となっています。モウソウチクは発達した地下茎を持っていて、竹林には他種が侵入しにくいことから、竹林化は生態系を構成する種の多様性の低下につながるとされています。また、竹林の拡大によって、以前の生態系が持っていた水質形成や土砂流出防止、水源涵養等の機能が低下することが懸念されています。そのため、以前のような竹林の管理が周辺住民などから求められるケースが増えています。本研究では、放棄されていた竹林で実際に管理を再開した場合に、管理方法の違いがどのような影響を引き起こすのかについて明らかにしようとしています。本研究は金沢大学等との共同研究として実施しています。

放棄され、モウソウチク密度の
高くなった竹林
間伐実施後のモウソウチク林
土壌水の採集

北方林の植物の生理生態学的研究

高緯度地方に分布する北方林において植物は、短い生育期間、厳冬期の著しい低温、それらの要因によってもたらされる貧栄養な土壌といった厳しい環境条件に適応して成長しています。本研究では、このような北方林に生育する植物の生理的特性について調査しています。特に植物の窒素利用に着目して、撹乱を受けた森林の回復過程で異なる遷移段階において優占する植物の生理特性や、生育期間中における窒素同化の季節変動などについて研究を行っています。本研究は、アラスカ大学フェアバンクス校等との共同研究として実施しています。

最大の撹乱要因の一つは森林火災
火災後に侵入するヤナギラン
冬季の常緑針葉樹調査

マングローブ河口域における一次生産が魚類群集に与える影響

本研究の目的は、マングローブ河口域における魚類群集を支えている多様な一次生産者について、それぞれの資源としての重要性を明らかにすることです。研究はタイ国で実施しています。手法としては、胃内容物調査と安定同位体分析を併用しています。サンプリング調査は、雨季と乾季に分けて行ない、海から遠い場所、近い場所の2か所で実施しています。現在、データ解析を行っています。

沖縄島コウモリ類に関する研究

リュウキュウテングコウモリ(Murina ryukyuana) とヤンバルホオヒゲコウモリ(Myotis yanbarensis) に関しては研究が僅かしか行われず、両種の生態の多くがこれまで謎に包まれていました。沖縄島北部のやんばるの森で捕獲調査と自動録音装置を組み合わせることで、徐々に本固有種の分布が明らかになってきました。さらに、どんなねぐらを利用するかを確認するために小型発信機を用いてラヂオテレメトリーにより両種を追跡しています。本調査の主な目的は、これら小コウモリ類に関する重要な生息環境を解明し、生物保護活動に繋げることです。

もっと詳しくは「島コウモリ調査グループ」のホームページに書いてあります。