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メバルの藻場利用の調査
メバル類、スズキ、マダイ等、多くの水産重要種がアマモ場で観察されます。これらの水産資源を持続的に利用していくためにも、アマモ場の生態系を理解したうえで保全することは重要です。しかし、既応の研究は、昼間に行われた調査をもとに藻場の姿を明らかにしたものがほとんどで、調査を行いにくい夜間の藻場の生態系に関する知見は不足しています。また、アマモ場を利用する稚魚に関しては多くの研究が行われてきた一方、大型魚類とアマモ場との関わり合いを研究した例は多くありません。
本研究では、瀬戸内海のアマモ場の優占種であるアカメバル(成魚)を取り上げ、①超音波テレメトリーによるアマモ場への往来のモニタリング、②消化管内容物調査、③コドラートサンプリングによるアマモのバイオマスの季節変動調査を行い、アカメバル成魚がいつ、どのようにアマモ場を利用しているのかを調査しています。
メコンオオナマズの生態に関する研究
メコンオオナマズは最大全長3m、体重300kgにも及ぶ世界最大級の淡水魚です。近年、人為的影響などにより野生下における個体数が激減し、絶滅が危惧されています。しかし、メコンオオナマズはサンプル採取が困難であることから、世界的にも研究があまり行われていません。メコンオオナマズの保護・管理策を立案するためには、どこで何を食べているかなど生態に関する知見を得る必要があります。
本研究では、タイ国内のダム湖に放流されているメコンオオナマズを対象として①超音波テレメトリーを用いた行動解析、②安定同位体比分析を用いた食性解析を行ない、①メコンオオナマズがいつ・どこで・何をしているのか、②どのような餌生物を利用して成長しているのかを明らかにします。
アオウミガメの摂餌生態に関する研究
絶滅危惧種であるウミガメ類を保全するためには、彼らの生態をよく理解する必要があります。本研究では、ウミガメ類の頭部加速度を記録することにより、摂餌行動をモニタリングする手法を開発し、アオウミガメ亜成体が、いつ、どこで、どれくらいの時間、摂餌を行なっているのかを明らかにします。
ウミガメ類の潜水生理に関する研究
ウミガメ類は肺呼吸生物であり、潜水を行うことで海洋で生活しています。彼らはときに1時間以上も潜水しています。このような長い潜水行動は、効率よく海中で生活できるようにウミガメが生理的に適応した結果、実現されていると考えられます。本研究では、データロガーを用いて、ウミガメの呼吸行動が潜水中の活動量や肺への吸気量によってどのように変化するのかを調べています。
受動的音響観察手法を用いたジュゴンの行動生態研究
観察が難しく、その行動生態の多くは分かっていません。近年、鯨類の調査において従来の目視観察と併用して受動的音響観察が行われています。これは対象種が発する鳴き声を手がかりにして、その行動生態を調べる方法です。ジュゴンも鳴くことが分かっており、鳴き声を使って個体間コミュニケーションをしていると考えられます。
本研究室では、受動的音響観察手法を用いたジュゴンの行動生態研究に取り組んでいます。タイのジュゴン生息海域や鳥羽水族館のジュゴン飼育水槽においてジュゴンの鳴き声を録音し、音響学的な解析を行っています。これら野生・飼育個体データから、ジュゴンがいつどこでなぜ鳴いているのかを調べています。
その他の対象種
二ホンウナギ、クロマグロ、キジハタ、イセエビ、ナルトビエイ、ホシガレイなど様々な水圏生物を対象にバイオロギング・テレメトリー研究を行っています。