Future Earthという活動について
Future Earthという活動について
Future Earthという活動が3年前から始まっています。これは地球の将来を考える研究のためのプラットフォームです。人類がこれから持続的に生活していくために、今ある様々な地球規模や地域規模の環境や資源の問題に向き合い、未来にわたって進むべき道筋を探すための研究を行う人々が集まるところです。進められる研究は文字通り「問題解決型」の研究であり、プロジェクトを立案する段階で、これまでにない枠組みを用います。その枠組みとは transdisciplinary studyです。
スケールにかかわらず環境問題は、人の営みに端を発する自然環境の攪乱によって生じているといって間違いはないでしょう。例えば、ある湖の富栄養化が問題となっているとします。流入する過剰な栄養塩は、しばしば流入河川の集水域に住む人々の下水に由来します。問題点を特定し、原因を明らかにするためには、現状を記述する科学的な調査が必要で、ここでは自然科学的な研究者の働きが必要です。さて、首尾良く原因がわかって対策を立てるときに、自然科学者がこの原因となる過剰な栄養塩の流出源を取り除けばよいのだと、ひとり主張したところで問題は解決できません。当然、それを取り除くことに関与すべき人々、住民であったり、行政人々が、実際に動かなければことは進みません。またそのときに、人々を納得させて動かすためには、それに関わる経済的な評価や、社会的な影響についての理解が必要になるかもしれません。結果、ここでは社会科学者の出番となります。
つまり、環境問題を解決するためには現状を正確に記述したり、将来の現象を予測したりする自然科学者、それに関わる社会経済的な情報を集めて記述したり、予測したりする社会科学者、さらに、当事者である住民や対策を実施する行政などの関与が実際には必要なのです。このことは、長年、各ドメインに属する人達がそれぞれで考えてきたことではありました。Future Earthの活動は、この協働作業を実際に動かそうという試みです。
二種類以上の学問分野の研究者が共同して研究することを、multidisciplinary studyとか、interdisciplinary studyとこれまで言ってきました。今度は、それに加えて研究者ではない、問題への関与者をも巻き込んで研究者のグループと協働して問題の解決方法を探ろうとします。その研究の過程を transdisciplinary study、日本語では、学問分野を超えるという意味で、超学際的研究と呼んでいます。
私たちは、京都大学Future Earth研究推進ユニットというグループを作って、うえに述べたような活動を進めようとしています。京都大学にはフィールドワークを基礎とした方法論と経験の蓄積があり、それが行われるなかで培われた地域社会との深い関わりがあります。京都大学のこのスタイルは、Future Earthが志す超学際的な研究プロジェクトの形成には十分に強みを発揮できるものであると考えています。
こうした活動に興味のある方は、気軽にユニットのメンバーにコンタクトをとってみてください。
Future Earth:
京都大学Future Earth研究推進ユニット:
http://feru.cpier.kyoto-u.ac.jp/
Future Earth Regional Centre for Asia:
http://www.futureearth.org/asiacentre/
Future Earth国際シンポジウム
持続可能な地球社会にむけて −京都からの挑戦− (2016年12月開催):