学会報告

国内外の学会へ参加された会員の方に、その学会での見聞や感想など、自由に記載してい ただきたいと思います。

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33rd International Sea Turtle Symposium:その2

2013年2月25日 報告者 西澤 秀明(京大院情報)

2013年2月4日〜8日にアメリカのボルティモアで開催された33rd International Sea Turtle Symposiumに参加してきました。ワークショップに関する報告は奥山さんからありましたので、メインのシンポジウムについて報告をしたいと思います。

一般講演は、In-Water Biology、Population Biologyなどの分野ごとに口頭、ポスターでの発表がありました。また、口頭発表ではSatellite Telemetryに関するセッションもあり、発信機の影響、幼体からのデータ取得の試み等に関する発表がありました。

バイオロギング・テレメトリ以外にも、安定同位体・マイクロサテライト遺伝子座を利用した研究が活発に行われているように感じました。しかし、その一方で感心させられる発表はむしろこうしたものよりも、データ自体は地味なものの「そういう着眼点があったか」と思わせるものであり、バイオロギングのデータでも「着眼点」が問われるようになっていくように感じました。

ちなみに、私は、アオウミガメの産卵間期から得られた加速度データの内容をポスターで発表しました。なぜかAnatomy & Physiologyのくくりに入れられて、内容が少しマニアックすぎたかと反省しましたが、何人かの方には興味深く聞いていただけたかなと思います。また、アオウミガメの遺伝的構造を研究されている京都大学理学研究科の浜端さんが学生ポスター賞を受賞されました。

なお、余談ですが、Baltimoreに到着した2月3日は、アメリカンフットボールの優勝決定戦・スーパーボウルが行われた日でした(行くまでまったく知らなかったのですが・・・)。そして、Baltimoreのチームが優勝したとあって、夜の街はお祭り騒ぎでした。怖いくらいでしたが、外国の文化に触れるという意味で良い経験になったと思います。

33rd International Sea Turtle Symposium

2013年2月18日 報告者 奥山 隼一(SWFSC, NMFS-NOAA)

 2013年2月5日〜8日にアメリカのボルティモアで開催された33rd International Sea Turtle Symposiumに参加してきました。今回は、シンポジウムの中の1つの企画として、潜水行動に関するワークショップをオーガナイザーの一人として開催させて頂きました。

ウミガメ類の潜水行動研究の多くはARGOSを利用したデータ取得に寄るものが多く、いわゆるデータロガーを用いた詳細な行動解析研究は産卵個体以外ではほとんどみられません。また取得データは深度・水温ばかり、その解析方法は未だ主観的なものばかりと、その調査規模・需要から考えると、なんとも勿体無いと言いますか、お世辞にもレベルの高い研究とは言えないものが多く見られました。

今回は、そのような潜水行動研究、解析方法に興味のある方々へ向けて、現在までのウミガメ類の潜水行動研究のレビューと定量的な解析方法、最新測器の紹介、装着方法に関するワークショップを開催しました。

ワークショップではウミガメの潜水行動に関して第一線で研究をされている方々からご講演いただく事ができました。また幸運にも、海棲哺乳類研究から皆さんもご存知Texas A&M University の Randall Davis教授にもご講演頂けました。私は北大の坂本健太郎さんと共著という形で、ウミガメ類での加速度ロガーを使った行動研究のレビューとエソグラファーの紹介をさせて頂きました。部屋は100名程度の規模でしたが早々に予約で一杯になり、お陰様で大盛況で終えることができました。

プログラムは以下の通りです。PDFでよろしければ本ワークショップの要旨集をお渡しできますので、ご要望の方はご連絡ください。

Marine Turtle Dive Behavior Workshop (Organizers; Elizabeth Whitman & Jun Okuyama) Introduction: Elizabeth Whitman

Session 1: Dive behavior impacts and implications

  • Amanda Southwood Williard: Effects of temperature on dive behavior of sea turtles
  • Robert van Dam: Hawksbill turtle behavior at sea: what we think we know & don't
  • Sabrina Fossette: On the use of accelerometry to study marine turtle diving behaviour, activity and energy budgets
  • Jordan Thomson: Applying dive data to reduce the impact of availability bias on analyses of aerial or boat-based survey data

Session 2: Technique and data analysis

  • Randall Davis: Classification and behavior of free-ranging Weddell seal dives based on three-dimensional movements and video-recorded observations
  • Junichi Okuyama & Kentaro Q Sakamoto: Use of accelerometer: the ways of reading and analyzing the acceleration data
  • Sandra Hochscheid: The importance of configuration: factors keeping dive profiles in shape
  • T. Todd Jones: Consequences of biotelemetry drag and the applicability of dive data to tag-free turtles

Focus group discussions

  • Statistics workshop (Tomo Eguchi: sample dive data analysis)
  • Vendor displays and presentations
  • Demonstration of the dive analysis software (MultiTrace? & Ethographer)
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講演者の方々。

第19回ISOB(Symposium of International Society of Biotelemetry参加報告

2012年6月24-26日 報告者 吉田 奈緒(京大院情報)

オーストリアのグラーツで開催されたISOBシンポジウムに参加してきました。グラーツはオーストリア第2の都市ということでしたが、ご存知の方は少ないのではないかと思います。ですが、実際に行ってみると、時計塔と旧市街の路地が印象的な素敵な町でした。

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グラーツの時計塔(左)と街並み(右)

今回のシンポジウムでは、医療分野におけるテレメトリー技術などが多く、野生動物でのテレメトリー研究の発表は比較的少なかったです。Fish Telemetryのセクションは4人のみで、日本からは近大の坂本先生、京大の三田村助教、筆者の3人が発表しました。 医療分野での技術的な発表内容は、かなり難しく、たとえ英語がすべて聞き取れたとしても、内容を理解できたか疑わしいものでしたが、普段聞く機会の少ない分野の研究について触れることができ、貴重な経験になったと思います。 私は口頭での発表でしたが、小さな会場での和やかな雰囲気にもかかわらず、非常に緊張しました。発表については、反省点や課題が多く残りましたが、いろいろな方に励ましていただいたように、今後、もっと頑張りたいと思います。

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発表する筆者(左)と坂本先生(右)

懇親会やエクスカーションでは、ヨーロッパのトラディショナルなスタイル(お酒を飲みながら夕食までの時間をゆーっくり過ごすらしい)になかなか慣れなかったですが、いつか、こんな風にワイン片手に議論できるようになりたいなーと、とちょっと憧れました。

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懇親会の様子

 なお次回、第20回ISOBは2014年の5月頃、京都で開催されることになりました。

32 International Sea Turtle Symposiumに参加して

	

2011年3月22日 報告者 中島 佳奈、和田 彩奈(京大院情報)

 2012年3月11日〜17日にメキシコのウアトゥルコで開催された、32 International Sea Turtle Symposiumに参加し、研究成果を発表してきました。この学会は毎年1回開催され、世界各国から、800〜1000人ほどのウミガメの研究者や保護団体らが集います。会場はメキシコシティから飛行機で1時間ほどのウアトゥルコという街にあるリゾートホテルでした。

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 発表内容に関しては、産卵数の経年変化や混獲の実態、温暖化に伴う雌雄の変化やウミガメの大切さを伝える教育活動など、様々な範囲にわたっていました。しかし、バイオロギングを用いた研究はあまりなかったのが残念でした。テレメトリを用いた移動経路や行動圏の推定に関する発表はいくつかありましたが、データロガーを用いた研究でも、深度や時刻を記録するものしか用いられておらず、加速度ロガーを用いた研究は我々の研究以外には見られませんでした。そのため、加速度ロガーを用いた私たちの研究発表では大変反響を頂くことができ、自信を持つことができました。  国際学会への参加が初めてであった私たちにとっては、今回の学会において多くのことを経験させていただくことができた。日頃論文を通して見聞きする研究者の発表を直接聞いたり、お話をさせていただくことができ、とても勉強になりました。

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口頭発表を行う筆者(中島)

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奥山先生

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ポスター発表(和田)

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学会後のエクスカーションでは、メキシコ南部のカメセンターに訪問させて頂き、オサガメの孵化幼体を始めて見る事ができました。脱出前の幼体のようでしたが、やはりアオやタイマイに比べると大きく感じられました。

2010年度 勇魚会(海棲哺乳類の会)シンポジウム「海棲哺乳類をめぐる技術」に参加して

2011年3月4日 報告者  酒井 麻衣(勇魚会会員、東大生命科学ネットワーク)

 2011年2月11日(祝)に、東京大学駒場Iキャンパス18号館1階ホールにて、2010年度勇魚会(海棲哺乳類の会)シンポジウム「海棲哺乳類をめぐる技術」が開催されました。当日は、なんと雪。聴衆が集まるのか心配されましたが、ふたを開けてみると参加者は全部で92名にものぼりました。中には小学3年生や高校生、主婦の方もいて、幅広い年代が海生哺乳類に興味を寄せていることを実感しました。ホールを見下ろせる調整室が保育室にしつらえてあり、子連れで聴講できたのは、大変ありがたかったです。 午前の口頭発表は、クジラに着くフジツボの話から生態、行動、心理、そして動物イラストの話と多様でした。発表者も学生から霊長類研究者、フィールド在住の研究員、プロのイラストレーターと多彩。これぞ勇魚会ならでは!でした。午後は「イルカの妊娠を知りたい」「イルカの性格を遺伝子から知る」「見えないアザラシの行動をみる」「イルカのソナーをまねる」「イルカロボットを作る」という5講演で、イルカの体内や行動を見る技術、そしてそれを人間の生活に応用する技術までが紹介されました。学会のように堅苦しくなく、実演やテレビ映像を流すなど、講演者の皆さんがわかりやすく楽しく発表してくれました。  海生哺乳類にまつわる写真展も、にぎわいを見せました。私はコビレゴンドウやコシャチイルカにロガーをつけようとする瞬間の写真や、各フィールドで乗った調査船の写真を出品しました。参加者による投票が行われるのですが、私の作品にも何票か入っていてうれしかったです。  今回は初の試みとして、東京大学教養学部附属教養教育高度化機構生命科学高度化部門、東京大学生命科学ネットワークの2組織が後援しました。その結果、きれいでアクセスの良いホールを利用でき、参加者にも好評でした。今後もこのような実り多いコラボレーションをしていきたいです。

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シンポジウム後、参加者で記念撮影

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シンポジウムの様子。左端に見えるのは写真展。機械室(授乳室)からもシンポを楽しむことができた。

1st World Seabird Conference への参加報告

2010年10月13日 報告者 永井 久美(総研大)

9月7日から11日に、カナダのビクトリアで行われた1st World Seabird Conference(WSC)への参加報告を致します。WSCは、25の海鳥の研究機関から成るPacific Seabird Group(PSG)によって開催されました。40を超える国から約800名の参加者が集まり、380のポスター発表を含む700以上の発表が行われました。国際学会は初参加となる私にとって、広い会場や充実したプログラム、参加者の顔ぶれなど、そのスケールは想像以上に大きなものでした。資金面でも規模が大きく、学生を対象としたトラベルアワード(旅費援助)も大多数の受賞者枠が設けられていました。 また、日ごろ論文を通して名前を見聞きする研究者と実際に会い、自分の研究を説明したり相手の発表を聞くことは、勉強になると同時に、とても刺激を受けました。ペンギンと環境変動について研究しているStephanie Jenouvrierの発表は、複雑な南極の気候変動を分かりやすくまとめており、目標にしたいと思いました。ロガー研究の第一人者であるRory Wilsonは、スターウォーズのジョークを交えた口頭発表で聴衆の心を掴んでおり、発表内容のみならず、その余裕に貫録を感じました。ただ残念だったのは、自分の英語力の無さがどうしても会話の幅を制限してしまうことです。コミュニケーション能力の重要性を改めて痛感しました。 発表内容は、海鳥という共通点はあるものの、実に多種多様な研究分野・地域に広がっており、総合的に問題を取り扱うこのような会の意義を実感しました。例えば私が研究しているペンギンについても、長期間のモニタリングを軸とした個体数調査、爪を用いた安定同位体解析の可能性を探る研究、気候変動の影響と応答調べた研究、同種内の遺伝子を比較し地域差を調べた研究など多岐に渡ります。自分の専門分野に囚われず、異なる分野・方法を知ることで、新しい発見やアイディアが生まれるのだと感じました。動物の行動・生理・生態を分野横断的に研究するバイオロギングでは、このような機会が特に重要だと思います。 ロガーを用いた研究は、GPSやGLSによる動物の位置情報を扱った研究が大半を占めていました。このような研究の発表では、環境情報との整合性をより分かりやすく、効果的に示す工夫が必要不可欠であると思いました。例えば鳥の位置情報を、海洋環境の変化と共に時間を追ってアニメーションで表した発表は、分かりやすく、説得力のあるものでした。 学会中には、ポスターおよび口頭発表に対し賞の授与が行われました。残念ながら日本人の受賞者はいませんでしたが、採点表が一人一人に返却され、大変参考になりました。期間の長い学会ならではかもしれませんが、多くの学会で取り入れて頂きたいシステムであると思いました。 最終日の11日には晩餐会が開かれその後ダンスが行われました。予定表でダンスというプログラムを確認し、最初は驚きましたが、日本からの参加者も積極的に加わりビクトリア最後の夜を楽しく過ごすことが出来ました。

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口頭発表の様子

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会場の外観

脳科学研究戦略推進プログラム課題分科会 参加報告

2010年9月12日 報告者:塩見こずえ(東大大気海洋研)

2010年7月28日、北海道のさっぽろ芸術文化の館で開催された「平成22年度脳科学研究戦略推進プログラム(通称:脳プロ)課題分科会」に参加しました。脳プロは文部科学省の研究プロジェクトで、今回参加した分科会はブレイン-マシン・インターフェース(BMI)を研究されているグループでの集まりでした。例えば、脳の信号を使ってロボットを操作する方法などの研究が行われているそうです(参考図書:「ブレイン‐マシン・インタフェース最前線 -脳と機械をむすぶ革新技術-」)。

そして、この集会の主催者の方は佐藤克文先生の著書「ペンギンもクジラも秒速2mで泳ぐ」を通じてバイオロギング研究のことを知り、講演の依頼をされたそうです。ところが佐藤先生はウミガメ(ロガー?)を追いかけて船の上にいる時期だったため、私が発表をさせていただくことになりました。主催者の方には申し訳ない気持ちでしたが、こんな機会はなかなかあるものではないので、ちょうど先生がいない日でラッキーだと思いました。

それにしても、バイオロギング研究と最先端の脳科学研究に一体なんのつながりがあるんだろう、というのが最大の謎でした。しかしお話を伺ったところによると、脳科学分野においても実験室だけではなくより自然な環境の下での脳活動を記録し、発見的なアプローチによってデータ解析をしようという機運が高まっているそうです。それはまさしくバイオロギング研究で馴染みまくっている考え方ではないですか、ということで、これを聞いて一気にアウェイがホームとなった気分でした。
緻密な実験をしている(のだろう)脳科学研究者の方々にとっては、私の研究なんてお遊びみたいなものだと思われるんじゃないだろうか…スーツ用の靴をまた忘れてしまったし…などと、発表前はとてつもなく悲観的になっていましたが、実際には上記のように自然環境下での実験に興味を持ってくださったり、データ解析手法を共有できるのではないかと提案してくださったり、とても刺激的で楽しい時間となりました。

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  写真:会場入り口(こんな綺麗な場所に、小汚い恰好で来てしまった…とさらに悲観的になった瞬間)

BMIでは現在、計測装置を完全に頭に埋め込み、ワイヤレスで送信された信号を解析するというというところまで手法が発展しているそうです。こうした技術を私達が行っている動物行動の研究にも応用していけるよう、今後も交流を続けられればと言ってくださりました。昨年、伝書鳩に脳波ロガーとGPSロガーを装着して放鳥した実験が報告されています(Vyssotski et al. Curr.Biol. 19, 1–8, 2009)。そんな研究ははるか遠い世界のことだと感じていましたが、いずれは日本のバイオロギング界でも動物の認知メカニズムまで踏み込んだ研究ができるようになるのではと妄想を膨らませた一日でした。

余談ですが、世界中どこへ行っても喜怒哀楽の表情がほぼ共通であるのはなぜなのでしょうか。これは私の中での長年の疑問で(かと言って、たいして追求もしていない)、今回、そういった表情の認識に関する研究をされている方とも偶然話をすることができました。が、残念ながらいまだ詳細は明らかになっていないそうです。

The 18th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammalsに参加して

2009年10月21日 報告者:市川光太郎(京大院情報)

国際学会に参加すると実に多くの刺激を受ける。
2009年10月12日から16日にかけてThe 18th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammalsがカナダ東部ケベック州において開催された。
世界各国から総勢約1500名が参加したこの学会は海産哺乳類の分野では最も規模の大きな学会である。海産哺乳類のGenetics, Evolution, Physiology,
Behavior, Ecology, Bioacousticsなど幅広い学問分野の最新の研究成果が、世界中から空路、海路、陸路を介して集められ、たった3つの発表会場
に詰め込まれるのである。学会が開催されている5日間は朝8:30から夜19:00まで情報の大洪水といっても過言ではない。
筆者は数ある研究分野のうち、Bioacoustics, Noise effect, Behaviorの分野を中心に発表を聴いた。Peter Madsenらによるとマッコウクジラの1ク
リックの発声に使われる空気の量は0.1L以下だということが分かった。実は筆者はこの発表を聴くことはできなかったが、ホテルで同室の森阪博士
に発表内容を聞いてとても興奮した。これは筆者が学会の直前にLee Millerに質問した内容に答えるものだったからだ。Laura Gersteinらはマナティ
の生息環境内を航行する船舶の音響特性を調べ、船舶の速度がある速度以下になるとマナティに聞こえなくなってしまうため、かえって衝突の危険性
があがると結論した。Jonathan Vallartaは音響測位をする場合の最適なアレイ配置をシミュレーションによって求めた。興味深い研究が多い学会で
あったが、ひとつだけ残念なことがある。研究を行っている国のバリエーションが少ないことだ。アジア・アフリカ諸国からの参加がもっと増えて
ほしい。
学会に参加すると自分の研究の位置が分かる。焦りで心がチリつくことばかりだが、研究の道筋も見えてくる。ケベックで得た刺激を胸に、帰国後の
しんどい日常に戻るとしよう。
さて、ここから先は完全なる余談であって、聡にして賢であるアナタは読まなくてよろしい。
国際学会では美しい外国人女性研究者を目にすることが多い。とある事情で途方にくれていた女性を手助けしたのだが、その女性がたまたまハッと
するほどの美人だった。お礼にビールを奢ると主張する彼女に対して、自分よりも背の高いハリウッド女優みたいな美女とウィットに富んだ会話を
する自信がなくて精一杯の笑顔でお断りしてしまった。その後落ち着きを取り戻してからは反省と自虐の嵐である。せっかくの女性からのお誘いを
断ってしまうなんて・・・。

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学会に参加した日本人研究者たちとホエールウォッチングに行った。 残念ながらこの写真の誰からもビールのお誘いをいただくことはなかった。

日本鳥学会2009年度大会 参加報告

2009年10月13日 報告者: 國分亙彦

今年9月19日から9月22日に函館で開催された日本鳥学会2009年度大会へ参加してきましたので,その様子を報告します。

今年度の大会には400人近くの参加者があり,約70件の口頭発表と,約90件のポスター発表が行われました。鳥学会の特徴は,大学・研究所の研究者・大学院生から趣味として鳥を見ている方まで,参加者の層が幅広い点です。こういった様々な人が「鳥が好き」「鳥に興味がある」という共通項でつながっている学会のためか,発表に関する議論にしても,懇親会にしても,他人行儀ではなく接しやすい印象を受けます。特に今大会のポスター発表は,アルコール・おつまみを片手に議論できる気楽なスタイルをとっており,おおいに盛り上がっていました。

一般講演の後,夕刻からは,いくつかのサブテーマに分かれて「自由集会」が開かれました。私は初日に「カンムリウミスズメ生息分布調査報告会」という集会に参加しました。カンムリウミスズメは世界でも日本周辺にのみ生息域を持つ希少な海鳥ですが,その繁殖地や生息数,生活史といった基本的な情報さえ十分にわかっていないようです。一般講演でも,孵化直後の雛が親と共に海へ出てゆく様子,換羽の実態などが,観察の結果わかってきた,という発表がいくつかありました。カンムリウミスズメは体重約300gと小型であり,再捕獲も難しいことから,現時点ではデータロガーによる生態の解明は難しいかもしれませんが,今後これらの問題を克服して潜水深度や移動などを調べることができれば,この海鳥の生息環境保全などに大きく役立つのではないかと感じました。

また最終日の9月22日には,函館国際ホテルで「バイオロギングによる鳥類研究」と題するシンポジウムが開催されました。ペンギン,ウミガラス,オオミズナギドリなどの海鳥を題材にした最新の研究成果をもとに,バイオロギング手法によって取得できる情報(深度,水温,体温,加速度,位置等)から,鳥類の採餌・生理・移動の生態が明らかになってゆく過程,そして環境と鳥の行動の密接な関連性について,発表が行われました。全体的に時間が押し気味であり,質問の時間がほとんどなかったのが少々残念でしたが,本シンポジウムには,学会参加者のみならず,一般の方も大勢参加されており,”バイオロギング”に対する関心の高さが伺えました。このシンポジウムにあわせて会場で販売したバイオロギング研究会編集の「動物たちの不思議に迫る バイオロギング」は,用意した50冊が完売するほどの人気でした。

最後になりますが,限られた人数で長い間準備にあたられ,スムーズで快適な大会の運営を実現してくださった大会実行委員の皆様に,この場をかりて感謝申し上げます。 

8th fish telemetry conference held in Europeに参加して

2009年10月7日 報告者:河端雄毅

2009年9月13日〜19日にスウェーデンで開催された↑の学会に参加してきました。

これはベラボウに(ヤバイ)面白いという研究発表は特にありませんでしたが、ヨーロッパの研究の規模の大きさ、個体数の多さには圧倒されるものがありました。日本のテレメトリー研究では、個体数は大体10から20くらいですが、ヨーロッパ・北米では50〜200くらいでの発表が多く、受信機の数も桁違いです。これは、多くの国の研究機関が共同でお金を出し合って受信機を共有しているから可能なようです。

もちろん、対象種が少ないというのも、このような大規模な研究が可能な背景にあるでしょうが、ヨーロッパのまとまりは凄いと感じました。アジアでも回遊する生物の調査には、このような国際共同研究が必要になってくるのではないかと思いますが、日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮が受信機を共有して、魚を追跡なんてのは、まだまだ先の話な気がしてしまいます。

私は、この学会でシロクラベラ人工種苗放流における被食・逸散回避策について発表しましたが、中々受けが良く、光栄なことにポスター賞をいただきました!

ちなみに次のFish telemetry学会は、初めてヨーロッパを離れて、2011年6月に北海道大学で開催されます。参加者100人程度の小規模で、非常に親しみやすい学会ですので、皆さまも参加されてはいかがでしょうか。

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↑北大の上田先生が次の会議について説明をしている写真。ハイクオリティな日本食が用意されるらしい

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↑ポスター賞をいただいて調子にのっている筆者

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↑バルト海をクルージング中の写真。右下の頭は、京大助教の三田村さん

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↑スウェーデンウメオの街並み

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↑学会の集合写真。前列中央に北大の上田先生、牧口さん

日本鳥学会2009年度大会参加報告

2009年10月5日 報告者 永井 久美(総研大)

2009年9月19日〜24日に、北海道函館市(北海道大学水産学部)で開催された日本鳥学会への参加報告を致します。

今回の学会では口頭発表後の自由集会やシンポジウムなどを通し、バイオロギングが主要なトピックとして紹介されました。陸鳥を研究する参加者からは、バイオロギングという研究手法に魅力・興味はあるものの、陸鳥では体サイズや装着・回収に難点があるといった声も聞かれました。海洋生物を主な対象としているバイオロギングですが、今後は陸上での活躍にも期待したいと思いました。また、デバイスありきの研究に疑問を呈するご意見も出ました。バイオロギングの必要性はヒトが観察し得ないところにありますが、目視観察の重要性も改めて考えさせられる一幕でした。目視観察一筋! 絶対にバイオロギングはやらない! と主張される方もいらっしゃいましたが、学会期間中に特別価格で販売した「バイオロギング−最新科学で解明する動物生態学−」(日本バイオロギング研究会編)は完売するほど人気があり、バイオロギングへの関心の高さが伺えました。

日本鳥学会では毎年、鳥の学校と題したテーマ別講習会が開かれます。今回はDNA分析を今後の研究に取り入れるための入門講座が開かれ、私も参加しました。鳥類数種の血液サンプルを用いた性別判定実験、種レベルから個体レベルまでのデータ解析など、ポイントを絞った内容を実践しながら学ぶことが出来ました。私は哺乳類のDNA配列解析を行った経験から、コンタミやプライマー作成など、難しい、大変といったイメージを持っていましたが、性別判定は比較的容易に出来るということが分かりました。また、参加者のほとんどがDNA分析手法の初心者であったにもかかわらず、全員が性別判定実験を成功させ、とても良い雰囲気でその後の懇親会を行うことが出来ました。今回で3回目となるテーマ別講習会ですが、是非今後も継続して開催して頂きたいと思います。

日本生態学会第56回大会参加報告

2009年5月11日 報告者 白井 正樹(長岡技大院 修士2年)

私は、2009年3月17日から21日まで岩手県盛岡市の岩手県立大学で行われた、日本生態学会へ参加致しました。

今回、私自身は発表がなく、その分多くの発表を見ることができました。その中でも特に興味深かったのは、岩手大学大学院の河端有里子さんが発表されていた、サシバの繁殖生態に関する研究でした。これは、設置された小型CCDカメラを用いてサシバのヒナへの給餌をビデオ録画し、さらに給餌を確認した動物と同種をサンプリングして、その重量と熱量を測定して食物資源量を算出するというものでした。私は、実際に動物の動きが映像として得られるという、カメラの面白さに惹かれながら、研究の話を聞かせて頂きました。

そして、この学会ではバイオロギング研究会副会長である綿貫先生が、栄えある日本生態学会大島賞を受賞されました。日本生態学会大島賞は、“生態学的データの収集を長期間継続しておこなうことなどにより生態学の発展に寄与された”研究者の方に贈られる賞ですが、今回綿貫先生の、気候変動とそれに対する生態系の応答を長期間にわたってモニタリングされた研究が認められての受賞となりました。おめでとうございます!受賞講演では、綿貫先生が“次の寒冷レジーム”について話されている姿が印象的でした。

さて、そんなこんなであっという間だった日本生態学会に続き、東大海洋研究所国際沿岸海洋研究センターでのオオミズナギドリの研究集会にも参加させて頂き、この一週間で多くの知識に触れることのができました。おかげで、軽かった私の頭も幾分か重くなったように感じながら帰路につくことができました。

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受賞の様子

平成21年度日本水産学会春季大会参加報告

2009年4月3日 報告者:辻野 拓郎(東京大学海洋研究所)

 3月27日から3月31日まで,平成21年度日本水産学会春期大会に参加してきました.今大会は東京海洋大学の品川キャンパスで行われました. お天気にも恵まれ, 桜が咲く中での学会でした.

今回,UTBLSでは題目数14の口頭発表があり,午後一番から夕方の最終まで発表が行われました.対象生物は,イサキやイシダイなどの魚類, ウミガメ,クジラやアザラシ,ペンギンなど多岐にわたるものでした.テレビ局の方々や大勢の研究者が発表を聞きに来られ会場の後ろでは立ち聞きが出るほどでした.筆者もUTBLSの一員として,スモールマウスバスの捕食行動について口頭発表をさせていただきました.先輩のデータでしたが,質疑応答で,自分自身の研究につなげることが出来る質問を頂き,有意義な時間を過ごすことが出来ました.また発表終了後,近くの居酒屋で打ち上げが行われました.他大学の方々やリトルレオナルドの鈴木さんなど普段なかなかお会いできない方々と交流し,貴重なお話を伺うことができ,有意義に学会を終えることが出来ました.

日本バイオロギング研究会第4回シンポジウム

「環境変動と大型海産魚類の応答:バイオロギングの貢献と課題」

2008年11月22日 報告者 田島 忠(名古屋大情報文化)

 2008年11月15日〜16日に、長崎大学において第4回バイオロギング研究会シンポジウムが行われました。 15日のシンポジウムは「環境変動と大型海産魚類の応答」というテーマで行われました。普段魚類の研究について考えることはあまりなかったのですが、魚類研究者ならではの環境への観点や、独特の研究手法を知り、その難しさと、同時に面白さを少し知ることが出来たと思います。

 ナイトミーティングが行われた稲佐山観光ホテルはとても夜景がきれいなところでした。このようなおしゃれなところで行うとは考えておらず、驚きました。また、さまざまな研究分野の方々と話すことができ、とても有意義な時間をすごすことが出来ました。

 16日は勉強会の後、河邉先生の研究施設を見せていただきました。研究施設は、長崎の街から結構離れており、海と山に囲まれたのどかな場所にありました。このような研究施設を見るのは初めてで、調査船の中まで案内していただき、非常に貴重な経験になりました。

 学会に参加するのは今回が初めてだったので、学会の雰囲気や発表の仕方などを学ぶ良い機会となりました。これからも、機会があればどんどん学会に参加していきたいと思います。

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日本動物行動学会第27回大会参加報告

2008年10月21日 報告者 山本 友紀子(東工大)

 2008年9月24日〜26日に、金沢大学において日本動物行動学会第27回大会が行われました。行動学会は例年、ポスター発表を主にしています。今回の発表では、全体の約半分が昆虫に関するもので、残りの4分の1が魚類、さらに4分の1を他の動物が占めていました。

 私は「音響的手法によるガンジスカワイルカの行動解析」というタイトルでポスター発表を行いました。ガンジス川に設置した定点型の音響データロガー(A-tag)に記録されたイルカのクリックスからガンジスカワイルカの行動をどこまで推測できるのか、について検証しています。昆虫や魚、鳥についての発表が多い中、いったいどれだけの人が聞きにきてもらえるのか不安もありましたが、いざ始まってみると思っていたよりも多くの人に来てもらえました。内容に興味を持ってくださる方もいましたが、海外のフィールド、特にインドで行っていることやガンジスカワイルカそのものに興味を持って聞きに来た方が多かったです。

 私が興味を持った研究は、東大大学院の堀部直人さんが発表していた「最適な餌探索戦略に短期記憶は不要?ノイズ?カオス?」でした。これは実験室内で飼育しているハエを高さの低い箱に入れ、餌を探して歩いて移動するハエが、ランダムに歩くのか、それとも何かを最大にするように歩くのかをモデルを使って検証するというものでした。動物の大きさやデータの取り方はまったく違いますが、動物が移動しているときの軌跡から何かわからないだろうか?という視点は私の研究と同じだったので、軌跡の見方やモデルについてなど参考になるところがたくさんありました。

 今回の学会では、データロガーを使った研究発表は私だけでしたが、手法も対象動物も違う研究でも見方を変えれば自分の研究に応用できる部分があることを学びました。これからも学会に参加するときには、一見関係ないかも…と思えるような研究にも、もっと貪欲に興味を持って吸収していきたいと思います。

Biologging III に参加して感じたこと

2008 年9 月10 日 佐藤 克文 (東京大学海洋研究所)

 「日本語で構わないから、自分からどんどん積極的に話しかけろ」。  プロ野球選手の松井秀喜がメジャーリーグにデビューすべく渡米する際、プロゴルファーの青木功はそうアドバイスしたらしい。

 アドバイスを請うために、日本語を一から勉強した欧米人のプロゴルファーが実際にいたとか。世界を舞台に戦う日本人スポーツ選手が希であった時代に、“世界の青木”と呼ばれた青木プロの強心臓ぶりを示す逸話である。

 「ゴルフが上手いから、そんな無茶な態度も許されるんだよねえ」と思う人は多いかもしれない。しかし、私はちょっと違う感想を抱いている。“世界の青木”だからできたのではなく、そんな事ができる人だからこそ“世界の青木”に成り得たと思うのだ。

 「どんなくだらないことでも良いから、口頭発表の会場で手を挙げて質問しろ」。Biologging IIIに参加した日本人学生にそんなアドバイスをした。「日本語でもいいから」と言わなかったところに私の小市民ぶりが現れている。ごく当たり前のアドバイスであったにも関わらず、残念ながら口頭発表の際に手を挙げて質問する日本人学生は出なかった。質問しない代わりに、彼らは研究発表でしっかりアピールできただろうか?

 今回、計96題の口頭発表があった。そのうち、日本人研究者による発表は11題(11%)であった。一方、ポスター発表においては、計42題のうち、日本人による発表は17題(40%)を占めた。日本人はポスター発表が好きなようだ。私がこれまで共同研究などを通じて知り合った欧米人達は、間違いなく口頭発表が大好きだ。「そんな内容でよくもまあ」と思うレベルであっても、彼らは当たり前の様に口頭発表を申し込む。ポスター発表には、興味を持って聞いてくれる人とより深い議論ができる、というメリットはある。しかし、そもそもポスターを見に来てくれる人が少ない場合は困ってしまう。シンポジウムの規模がさほど大きくなく、会場が1つしかない場合には、口頭発表は有効な宣伝手段だ。良いプレゼンをすれば、声をかけるのもはばかられる程の大御所や、論文を読んで名前ならよく知っているという同業者も含めて、多くの聴衆に自分の研究内容をアピールできる。うまくいけば議論を通して新たな知り合いもできる。

 今から10年ほど前に、フランスの有名な研究者であるイボン・ルマオー博士が、国立極地研究所に長期間滞在した。内藤先生をはじめとした先人達のそれまでの苦労が実を結び、日本製データロガーを使った研究成果が、日本人を第一著者とした論文としてポツポツと国際誌に掲載されるようになった頃の話である。内藤先生が「我々に足りないのは何だ?」と尋ねたところ、ルマオー博士は「ロガー開発も研究成果も世界最先端じゃないか」と社交辞令を述べた。「それにしては、国際舞台で日本のグループの存在感が無さ過ぎるではないか」と内藤先生が食い下がると、ようやく彼は「日本人はinternational communicationが足りない」と本音を語ってくれた。残念ながらこの指摘はいまだに我々の耳に痛い。

 2003年に日本で第1回大会が開催されて以来、計3回の国際バイオロギングシンポジウムすべてに私は参加してきた。毎回日本人の参加者は多い。「日本人学生が多いねえ」という感想を私に漏らした欧米人参加者もいた。それにも関わらずこの分野における日本人の存在感はまだまだ薄い。日本人の研究内容のレベルが高いことを知っているだけに、この状況が残念でならない。

 どうしたら国際舞台で人々から認知してもらえるのだろう。良い研究成果をあげる事が重要なのは言うまでもない。今回のシンポジウムでイギリスのChristian Rutzの口頭発表を聞いた。前回2005年にBiologging IIが開催された時点で、私は彼を認知していなかった。その後、彼は自作の小型カメラをカラスに搭載し、鳥の道具使用に関する研究を成し遂げた(Rutz et al. 2007 Science)。「カラスも賢いけど、君も相当賢いねえ」と感じられるプレゼンであった。周りの人々も同様の感想を抱いたようだ。できる人は、淡々と話すだけでも人々に強い印象を残す。

 日本人の発表にもすばらしいものがいくつかあった。たとえば、本ニュースレターでエソグラファーの使い方について連載している北海道大学の坂本健太郎さんの口頭発表もすばらしかった。発表が終わったときだけでなく、質疑応答が終わってから再び大きな拍手がわき上がったのは、坂本さんの発表だけであった。発表終了後に大御所からオファーが数件舞い込んでいた事から見ても、インパクトが大きかった事は確かだ。

 一方、私は口頭発表後の質疑応答に苦しんだ。言葉の壁はやっぱり高い。Chrisの様なクイーンズイングリッシュは、どう考えても無理だ。そんな中で、言葉のハンディキャップを補ってあまりあるパフォーマンスを口頭発表の場で披露して、人々の度肝を抜いたのは、我らが内藤靖彦先生であった。その内容をここに書き記す訳にはいかないが、「ああ、この場でこんな事ができるからこそ、この人は“生きる伝説”に成り得たのだなあ」と感じ、青木功の逸話を思い出した次第である。

 いつの日か、日本の若者達が内藤先生をも唖然とさせるパフォーマンスを次々と繰り広げ、国際舞台における確固たる存在感を勝ち取る日が来るのを願っている。

第3回国際バイオロギングシンポジウム

2008 年9 月10 日 鈴木 一平 (東京大学海洋研究所)

こんにちは、はじめまして!

 東京大学海洋研究所・宮崎研究室所属の鈴木一平(修士課程2年)です。

今回は、9月1日から5日にかけてアメリカのカリフォルニア州モントレー湾に面したパシフィック・グローブで開催された 第3回国際バイオロギングシンポジウム(http://biologging.wordpress.com/)について紹介したいと思います(写真1)。

 今回の学会では20カ国以上の国から200人を超える参加者が集まりました。その内容はポスター発表と口頭発表の2つに大きく分けられ、ポスター発表は初日と2日目の夜に夕飯を済ませてから始まり、飲み物を片手に交友を深めながら研究内容について話し合うものでした(写真2)。

 口頭発表は、今回多くの参加者が滞在していたアシロマ・コンフェレンス・グラウンズ(Asilomar Conference Grounds)というカリフォルニア州立公園の中にある施設の1つの教会を借りて初日から最終日まで行われました(写真3)。

 今回私は口頭発表に参加させていただき、『加速度データロガーを用いた海棲動物の水中摂餌行動の新探知法』というタイトルで、ノルウェーのトロムソ大学で行ったズキンアザラシの顎に加速度データロガーを装着して物を食べる際の顎の動きから摂餌行動を探知するという共同研究について発表を行いました。初めての国際学会で、初めての英語での発表とすごく緊張してしまい、発表中の声も震えながらのものとなってしまいましたが、練習の甲斐あり何とか制限時間内に終わらせることができてほっとしました。発表の後には興味を持ってくれた方々から声を掛けてもらい、今後のこの手法を用いた研究の展望に期待が持てそうでした。

 学会の4日目の夜には、閉館後のモントレー水族館でディナーパーティーが催され、魚たちに囲まれながらの夕飯という珍しい体験をすることも出来ました(写真4、5)。夕飯の後には、この分野で多大なる功績をあげていらした内藤靖彦教授への表彰状の授与式がありました。また、内藤靖彦教授、宮崎信之教授から今回の主催者バーバラ・ブロック博士(Dr. Barbara Block, Stanford University)とダニエル・コスタ博士(Dr. Daniel Costa, University of California at Santa Cruz)にダルマ人形が贈呈され、今回の学会の成功を記念してダルマに片方の目を書き入れ、もう一方の目にはバイオロギング・サイエンスの更なる発展を祈願し、それが達成されるように皆でこれからも頑張りましょう!というセレモニーも行われました。その場で、次回の第4回国際バイオロギングシンポジウムに関する告知もありましたので、下記をご参照下さい。

 今回の学会を通して、バイオロギングという分野がいかに国際的な分野で、どれだけ多くの人たちが動物の生態、行動、生理学を解明するためにバイオロギングを用いているのかということを知ることができたと思います。ダルマのもう一方の目を書き入れるため、私の研究も今後のバイオロギングの発展の役に立てるよう頑張りたいと思いました。

 以上で今回参加した第3回国際バイオロギングシンポジウムに関した学会報告は終わりにしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

***ニュース!!*** 先ほど紹介した次回の国際バイオロギングシンポジウムについてです。 まだ詳細については決まっていませんが、まず確定事項として、次回の第4回国際バイオロギングシンポジウムの開催地はオーストラリアに決定しました!開催される年は2011年の予定だそうです。オーストラリアは日本との時差が1時間なので、私たち日本人の体にはカリフォルニアの−16時間よりも適応しやすそうですね!

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海洋理工学会平成20年度春季大会参加報告

2008年6月10日 報告者 : 野田 琢嗣(京大院情報)

京都大学情報学研究科バイオテレメトリーチーム(京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻生物圏情報学講座)は、荒井修亮准教授を中心にウミガメ、ジュゴン、メコンオオナマズをはじめとした多様な水圏生物にバイオテレメトリーならびに音響計測などを応用して生態解明を行ってきました。その成果が海洋理工学会の発展に大きく寄与したとして、海洋理工学会業績賞を受賞されました。記事は次のウェブサイトでも読むことができます。http://amstec.jp/

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受賞したときにいただいた、賞状と盾

海洋理工学会の平成20年度春季大会が5月15日、16日の2日間東京の海洋研究開発機構で開催されました。京大からは荒井先生、三田村さん、市川さん、私の4人が参加しました。東京にはほとんど行ったことがなく、あまりの人の多さと巨大なビルの狭間で当惑しながら臨みました。学会発表は今回がはじめての私にとって、とても緊張しましたが、偉大な先輩方に支えられ無事に発表を終えることができました。発表内容は多岐に渡り、メタンハイドレード開発に伴う環境影響の評価のための新技術について、また、海洋生物への化学物質蓄積モデルについてなど、どの発表も大変興味深いものでした。また今回、荒井先生が代表となる京都大学情報学研究科バイ􏰀テレメトリーチームが業績賞を受賞されました。本当におめでとうございます。今回の学会では、様々な人が海洋分野の発展のため頑張っているということを実感しました。私も、これから2年間の修士課程の研究を充実させたものにし、何か少しでも貢献できるよう励みたいと思います。

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学会の様子

研究交流会「海洋生物の遊泳行動を読む〜化石から,そしてデータロガーから〜」報告

2008年7月1日 報告者:三谷曜子(極地研・日本学術振興会)

6/30(月)東京大学海洋研究所講堂にて研究交流会を開催しました.この交流会を開催するきっかけとなったのは,私が6/9(月)に国立科学博物館にて開催された四肢動物の二次的水生適応シンポジウム(http://www.secad2008.jp/symposium_jp.html)にて,魚竜の化石から遊泳行動や生態を研究していらっしゃる藻谷亮介先生の講演を聴いたことです.我々,バイオロギング研究者は,動物に装着したデータロガーのデータから行動を読み解いていますが,藻谷先生は魚竜が原始の海でどのように泳ぎ,暮らしているのかを,化石からの情報+現世の水生動物の遊泳行動データから読み解いており,「バイオロギングのデータがこんなところにも用いられているのか!」と感激し,ぜひ,バイオロギング関係者と交流を持っていただきたいと交流会の提案をさせていただいたところ,快諾していただきました.

当日は,バイオロギング関係者だけでなく,古生物関係者も集まり.参加者は30名ほどになりました.

プログラムは以下の通りです.

  • 藻谷亮介(カリフォルニア大学デービス校)  「魚竜類の体形進化と古環境の変遷との対応」
  • 佐藤克文(海洋研) 「翼竜(ケツァルコアトルス)が飛べたか飛べなかったか」
  • 三谷曜子(極地研) 「ゾウアザラシの潜水行動」
  • 河津静花(海洋研) 「フトツノザメの潜水行動」
  • 渡辺佑基(海洋研) 「マンボウの奇妙な形態と泳ぎ方」

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会場の様子。

会全体を通しての感想ですが,「なぜ水生動物は潜るのか?」という問いに対し,これまで中心だった行動の機能(究極要因)だけでなく,動物が潜るための形態や生理(至近要因),そしてさらに,「潜る」という行動がそれぞれの動物において,どのように進化してきたのか(系統進化要因)へと発展させていけるような,有意義な会だったと思います.このような研究は,様々な動物を対象としているバイオロギング研究会だからこそ進めていける研究だと思いますし,ぜひ皆様と協力しながら面白い研究を進めて行けたら,と期待がふくらみました.

また,研究交流会開催にあたり,会場準備や当日会場係をやっていただいた,宮崎研究室の皆様,佐藤さん,宮崎先生にこの場を借りて御礼申し上げます.

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藻谷先生のご講演。

流体力学基礎講座

2008年6月30日 報告者:天本 奈々子 (京大院情報)

動物の泳ぎを理解したい!ということで、2008年6月19、20日に東京で開講された流体力学基礎講座に参加してきました。本講座には日本バイオロギング研究学会の会員である防衛大学校の伊藤慎一郎先生も講師として参加されており、初心者にも良く分かるという伊藤先生の心強い言葉に勇気付けられ思い切って申し込んだわけです。安心することに、講義は単位についての復習という極初歩的な話から始まりました。また、流体の性質をあらわす値や浮力・揚力についても、数式をできるだけ使わず最新の水着や鳥、飛行機の翼と絡めて分かりやすく説明していただけました。そのため、近年になく集中して興味深く聞くことができました。さらに、初日にこのように流体に関して大まかな知識を得た後、非定常流れの計測方法やデータ処理の講義があり、その翌日には流体力学の知識に基づく研究事例として、イルカや人の泳ぎのモデリングという高度なお話まで聞くことができました。しかし正直に言えば、微分積分からかなり遠ざかっていた私には、最初の流体力学に関する初歩の部分だけで手一杯で、後半のモデリングの理論についてはほとんど理解することができませんでした。また、初歩の部分に関しても十分に理解するには一日では少なく、また私の数学的な知識も不足しすぎていたように思われました。やはりローマは一日にして成らずですね。ということで、現在本講義の指定教科書を使って復習がてら勉強する日々です。

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講義される伊藤先生 

Techono-Ocean’08

2008年4月30日 報告者:青木 かがり (東京大学海洋研究所)

4月9〜11日に神戸で開催されたテクノオーシャンでバイオロギング研究を紹介しました。テクノオーシャンとは、環境問題や資源開発など地球規模の課題に産学協同で取り組んでいくために、互いの研究・技術を理解し、交流を深めよう、というイベントです(詳細は、テクノオーシャンのHPをご覧下さい)。企業と独立行政法人合わせて、74団体が出展していました。

 私が所属する東大海洋研はHADEEP (HADal Environmental science/ Education Program)とUTBLS (Bio-logging Science, The University of Tokyo) をいう2つのプロジェクトを紹介しました。HADEEPとは、深海底に生息する生物を撮影・捕獲することによって、分子生物学的・行動学的に調べ、彼らがいかに深海に適応しているのかを明らかにしていくプロジェクトです。UTBLSとは、東大海洋研を中核とするバイオロギング研究のプロジェクトで、世界各地でデータロガーを様々な動物に取り付け調査を行っています。プロジェクトの内容を紹介するために、調査の様子や研究成果をまとめたビデオやパンフレットをアートハウス社の木村さんの多大な協力のもと作成致しました。この場を借りて協力して頂いた木村さんとみなさまにお礼を申し上げます。また、データロガー装着の様子を紹介するために、佐藤先生がアオウミガメの剥製を用意して下さり、実際にデータロガーを取り付けて展示しました。工学系の展示が多かった中で、生物を扱ったことが珍しかったのか、招き猫ならぬ招きガメとなって神戸新聞にもバイオロギング研究が取り上げられました。そのお蔭もあってか、研究者以外にも企業の方や多くの一般の方が海洋研のブースに来て下さり、熱心に展示物を見ていました。

 今回の展示で、最も規模が大きかったのがJAMSTEC (海洋研究開発機構) で、全体の展示スペースの1/4ほどを使い、探査機や潜水艇などで撮影された深海の映像の公開、研究成果の口頭発表などを行なっていました。京都大学はシステムインテックと共同で出展しており、システムインテックの音を録音する装置とそれを使用した研究成果が同時に展示されており、非常にわかりやく興味深い内容でした。展示スペースの隣の市民プールではロボットコンテストが開催されており、National Taiwan University、大阪大学、九州工業大学、東京大学などが技術を競い合っていました。イカ型、ウナギ型、飛行機型などのロボットや自律型潜水艇(AUV)がリモコンによって操作され、ロボットが華麗な動きを披露すると、小さな子供から大御所研究者までわくわくした表情を浮かべていました。

 私にとって、テクノオーシャンのような企業や他分野の研究者、一般の方を対象とした展示は初めての経験で、とても勉強になりました。研究目的や成果を誰かに伝えることや、自分が明らかにしたいことに向かって物を作ることは重要なことだと実感しました。また、学術発表以外の場でいくつかの大学が研究成果を発表していたことから、教育の要素が強い大学でも世の人々にその成果を公表し、存在を認めてもらう必要が強まっていると感じました。

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東京大学海洋研究所のブースにて。筆者は一番右。

ハワイ大・東大ジョイントシンポジウムのご報告

2008年4月17日 報告者:河津 静花(東京大学海洋研究所)

3月13日〜15日に、海洋研講堂においてシンポジウムが開催されました。 発表者21名、参加者約60名で行われ、「Ocean and coastal science」をテーマに様々な議論が交わされました。13日は「海洋生物の多様性、生理学、生態学」に関する発表、14日は「珊瑚の生物学」「生化学、海洋構造」に関する発表があり、私と佐藤先生がロガーに関する発表を13日に行いました。公の場で英語発表するのは初めてだったため原稿を持参したのですが、いざ発表となると会場が暗すぎて原稿の文字を追えず、何度か一時停止するというなさけない事態に陥りました。咳をしたりしてごまかしたのですが、こわいですね。準備不足は。タギング関係の発表をされたのは、音響テレメトリーを用いてサメの水平移動パターンを調べているYannisさん、同じく硬骨魚(jack)のCarlさんの2人でした。2人ともロガーに興味を持っているらしく、是非使ってみたいと言っていました。

私は昨年度シュモクザメ幼魚の実験をハワイ大学海洋研究所でさせていただいたため、今回のシンポジウムで発表する運びとなりました。幼魚が何者かに丸呑みされ、ロガーが吐き出される(あるいは下から)というデータが2度もとれましたので、その件について述べたのですが、「プレデターに食われた」のくだりでクスクス笑いが聞かれましたので、なるほどこういうのが外国人のツボなのかなどと思いながらしゃべりました。「匂いが残ったタグを持ってきたので嗅いでみたい方はあとでどうぞ」と申しましたら笑いがとれました。しかし実際に嗅ぎにくる人はおらず、ジップロックに閉じ込めてもなお悪臭を放つタグを手にすごすごと会場を後にしました。

14日の発表終了後には新宿・伊勢門で打ち上げ(Night Session)があり、みなさん上機嫌で会は終了しました。こんなとこ自腹じゃ来れないね〜。と生理学の部屋の先輩としゃべり、普段見ることのできない、ハワイ大の人々の酔っ払った姿を見られて面白かったです。コワモテの人がとても陽気になっており、笑ってしまいました。

15日は分野ごとにディスカッションという設定でしたが、特に計画もないため佐藤先生の「葛西臨海水族園に行こう」というナイスな思いつきにより、ロガー/タギング組は遠足をすることとなりました。ハワイ組から築地に行ってみたいとの意見が出ましたので、築地〜葛西をめぐる小旅行を行いました。もはや分野に関係なく、参加したいという人々が集まりました。個人的に葛西は大好きです。アカシュモクザメの成魚がいるのですが、他の水族館ではあの大きさにはなかなか巡りあえません。マグロが凄い速さで泳ぐ水槽も好評でした。しかも700円という破格の値段!皆様も是非一度行ってみてください。

葛西の宣伝みたいになってしまいましたが、シンポジウム全体を通して、ハワイ大及び海洋研内でも話したことのなかった先生や学生さんたちと親睦が深められてよかったです。発表が終わるごとに活発な質疑応答がみられたことも印象的でした。

平成20年度日本水産学会春季大会

2008年4月17日 報告者:勝又 信博(東京大学海洋研究所)

 3月27日から3月31日まで,平成20年度日本水産学会春期大会に参加してきました.今大会は東海大学の清水キャンパスで行われ,岩手県からは遠く温度変化が激しい道のりとなりました.

 驚いた事に今回,UTBLSでは題目数23もの口頭発表があり,終わるまでに朝から午後2時近くまでかかるという長時間のセッションになりました.対象動物は,サケやイサキなどの魚類はもちろんのこと,クジラやアザラシ,ペンギンなど多岐にわたるものでした.筆者もUTBLSの一員として,オオミズナギドリの採餌行動について口頭発表をさせていただきました.データから予想した出来事について,実際に見たことがあるという意見をいただけたので,解析に自信が持てました.

 残念ながら聞きたい講演が重なっていたり,時間がずれ込んでいたりしたため講演を聞けなかったりしましたが,様々な方と意見交換をすることができ,大変有意義な時間を過ごせました.

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日本一の山(京大 荒井准教授から提供して頂きました)

35th Annual Meeting of the Pacific Seabird Group

2008年4月17日 報告者:勝又 信博(東京大学海洋研究所)

 2月27日から3月1日までアメリカのワシントン州ブライネにて開催されたPacific Seabirds Group(PSG)の第35回年次大会に参加してきました.初めての国際学会参加に加え,口頭発表をする予定でものすごく緊張しました.また,周りが海鳥関係者という状態での口頭発表は初めてで,いろいろな意見をいただきたいと思い奮戦しました.しかし,発表時間をオーバーしてしまい,質疑応答の時間をいただけませんでした.反省です.日本からも口頭発表・ポスター発表で数人が参加し,その中で北海道大学大学院の伊藤さんが『Prey Selection and Foraging Behaviour during Self-Feeding and Chick-Provisioning in Thick-Billed Murres (Uria lomvia) 』の発表で見事,学生賞を受賞されました.おめでとうございます.

 今回の学会で驚いたのは,海外の海鳥学者の間ではコアホウドリの人気が高いらしく,コアホウドリの発表では立ち見が出るほど人が集まっていました. また,講演者の方々のスライドやポスターが丁寧で,とても見やすかったことも印象に残っています.サイレントオークションでは,ピンバッチや絵画,お酒などが並んでいましたが,いかにも日本らしい柄の靴下や鳥のフィギュア,切手などの人気が高く,ここでもコアホウドリの切手には高値がついていました.

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日本勢が出品したフィギュア

 今回の学会参加では,様々な鳥類の研究方法や見解など,多くの事を学ぶ事ができ,有意義な時間が過ごせました.来年のPSGは,北海道大学の札幌キャンパスで行われます.ただの参加者としてではなく,裏方でも活躍できるように頑張りたいと思っています.

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ランチボックス片手に談笑中

2007年度 勇魚会(海棲哺乳類の会)シンポジウム「研究発表大会」「スナメリ勉強会」

2008年4月8日 報告者:酒井麻衣(東京大学海洋研究所)

本シンポジウムは、3月1,2日に三重大学で開催されました。研究発表大会では、三重大学吉岡研究室の発表がとくにみんな丁寧で、しっかり時間をかけて準備したというのが伝わってきました。スライド1枚1枚が完璧で、スキがありませんでした。スキがないと質問が出にくい、ということも感じました。水族館のトレーナーさんの発表では、貴重なベルーガの胎児のエコー映像が紹介され、会場からは驚きの声がもれていました。京都大学・木村里子さんの揚子江スナメリの定点音響ロガーに関する発表は、こんなハイテク手法があるとは!と聴衆を驚かせ、木村さんは見事学生賞を受賞しました!自分は揚子江スナメリに取り付けた吸盤ロガーから得られたデータで、採餌行動や呼吸行動がわかるかもしれない、という発表をしました。スナメリを長年研究されてきた方や、ロガーの先輩にたくさんの突っ込みをうけ、反省することは多々ありましたが、「伊勢湾のスナメリにもロガーをつけられないだろうか?!」と興味は持ってもらえたのではないかと思います。

 2日目はスナメリをテーマとした勉強会で、長年スナメリを研究されてきた研究者や水族館の方々の講演でした。どの話もスナメリへの愛情を感じ、長期に渡る調査への努力や、イルカ屋としての誇りに感動。伊勢湾・三河湾を囲む地域では、スナメリは非常に身近で、注目度も高いことも感じました。エクスカーションのイルカ理科室(写真)では、名古屋港水族館のトレーナーさんが、イッカクの角、スナメリの全身骨格やベルーガのコドモが脱皮した皮膚を展示し、説明をしてくださいました。三重大吉岡研の船坂さんが、バラバラの骨をすいすいと組み立てていく様がとてもかっこよく、自分はまだまだスナメリのことを何にも知らないと痛感しました。最後に吉岡先生が、「鯨類研究者を名乗るなら、ストランディングの対応くらいはできるようにしておきましょう」と一言。勉強しなくては。 irukarika.JPG
イルカ理科室の様子。

17th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammalsへの参加報告

2008年2月26日 報告者:菊池夢美(東京大学海洋研究所)

2007年11月29日から12月3日、南アフリカ共和国のケープタウンで第17回国際海棲哺乳類学会が開催されました。初の国際学会、これを機に海外の研究者の方達に話しかけてみようと意気込んでいたのですが初日のパーティーはこのような状態で、名札だけで顔も知らない人を探すのは困難なことでした。

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写真1.castle of good hopeで開催された前夜祭の様子

今学会では、ecology and conservation of sireniansというカテゴリーで口頭、ポスター発表が行なわれており、学会の前日にはワークショップも開催されました。発展途上国での海牛類保護についての報告は非常に印象に残っています。アフリカでは、それまでマナティーを密猟していた人々が観光ガイドとしての転身に成功し、保護プロジェクトによって人々の保護への認識を深める活動を行なっているということです。その他、海牛類の衛星追跡に関する発表も多くみられました。 そして、今学会に一緒に参加した帝京科学大学アニマルサイエンス学科の山本知里さんが飼育下のイルカの遊び行動に関する研究発表でベストポスター賞を受賞しました。本当におめでとうございます。

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写真2.ケープタウンの水族館にて(山本さん)

国際学会によって南アフリカという素晴らしい国へ行く機会を得られました。学会でお世話になったレシェック博士には、忙しい中ケープタウン市内や壮大なテーブルマウンテンに案内して頂き色々なお話を伺うことができました。心より感謝致します。 南アフリカでの学会に参加して、これからの研究活動に対する意欲が高まりました。そして次こそは、もっと英語力を磨き、世界各国の著名な研究者の方々と臆すること無く交流できるように努力していきたいと思います。

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写真3.テーブルマウンテンにて.レシェック博士(一番右)と筆者(左から2番目)

メコンオオナマズを語る〜大きなナマズのミニシンポジウム〜

2008年2月23日 荒井修亮(京大院情報)

 世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」でメコンオオナマズのミニシンポジウムが開催されました。「アクア・トトぎふ」は2004年7月にオープンした世界最大級の淡水魚水族館です。オープンに合わせてタイ国水産局から6尾のメコンオオナマズが寄贈され、本水族館の目玉となっています。今回、「メコンオオナマズを語る〜大きなナマズのミニシンポジウム〜」が水族館多目的ホールで開催され、私たちの研究の紹介を行う機会がありました。土曜日の早朝、また決して便利な場所とは言えない水族館に多数の一般の参加者が詰めかけていただき、そして熱心な質疑に驚きました。講演は私を含めて3件の講演と多紀保彦先生(自然環境研究センター理事長、東京水産大学名誉教授)による総合討論が行われました。演題は次のとおりです。

1.「バイオロギングが解く、メコンオオナマズの謎」荒井修亮
2.「長崎ペンギン水族館のプラー・ブック(メコンオオナマズ)の飼育について」甲斐宗一郎(長崎ペンギン水族館館長)
3.「メコンオオナマズの飼育経過(これまでにわかったことと水族館にできること)」池谷幸樹(世界淡水魚園水族館飼育担当)

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国際ウミガメ会議参加報告 (28 th Annual Symposium on Sea Turtle Biology and Conservation)

2008年2月20日 渡辺国広(東大海洋研)

 国際ウミガメ会議の第28回年会が1月22日から26日の日程でメキシコのカリフォルニア半島南部に位置するLoretoにおいて開催され、日本からは日本ウミガメ協議会、ELNA、京大、東大から筆者を含む計7名が参加した。このLoretoという町は人口わずか1万人たらずの小さな町であるが、クロウミガメが最初に報告された地としてウミガメ関係者にとっては著名な地である。

 国際ウミガメ会議は例年、1000人を超える研究者、保護活動家、ウミガメ愛好家が集結する。そのため、巨大リゾートを借り切り、その中で会議場や宿泊施設を全てまかなうことで効率化しているのだが、今回は参加者にこの田舎町をフルに味わってもらいたいという主催者側の意向により、町の体育館や広場、大学の教室などを利用した分散型の会議となった(写真1)。

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写真1 メイン会場は町の小さな体育館

 実際に口頭発表が行われる体育館からワークショップの開催される大学の教室まではてくてくと20分以上歩かねばならない。特にポスターセッションは野外広場で青空のもと行なうというまさにフィールド屋の集会ならではの企画であった。あいにく、砂漠地帯の乾季にとっては異常とも言える雨が3日間に渡って降り続いてしまったのは残念であったが、教会前の広場に300題ものポスターが並べられた光景は圧巻であった(写真2)。  

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写真2 野外で行われたポスターセッション(撮影:楢崎友子氏)

 一箇所で口頭発表をさばかねばならないという制約のため、今回は発表時間を5分に制限し、質疑の時間もとらないスピードセッションが導入された。このセッションで登壇する発表者はいずれも上級者に限られていたが、時間の不足を感じさせないテンポの良い発表技術に感心させられた。

 今年のStudent AwardはUniversity of British ColumbiaのBrian Bostromによるオサガメの体温制御に関する研究、University of FloridaのKimberly J. Reichによる北大西洋アカウミガメの摂餌戦略に関する研究が受賞した。前者はオサガメが水温に応じて活動度を変えることで体温を維持していること、ヒレの血流を変化させることでヒレからの熱の損失をコントロールしていることを綿密な室内実験によって示した研究で、彼の明確な狙いをもったロガーの利用法は見習うべきと感じた。後者は日本のアカウミガメで畑瀬英男氏が発見した外洋型と浅海型の摂餌戦略が北大西洋のアカウミガメでも見られることを安定同位体分析により示しただけでなく、摂餌戦略に雌雄差があること、戦略の違いによって甲羅に付着するワレカラ類の種組成が明確に異なることまで報告していた。多様なアプローチで疑問に取り組もうとする姿勢に感銘を受けた。ちなみに彼女は2度目の受賞という快挙であった。

 なお、科学研究ではないものの、Colorado State Universityに在籍するAsuka Ishizaki氏が小笠原の住民を対象におこなったアオウミガメの保全に対する社会心理学的な調査もStudent Awardを受賞した。昨年の楢崎友子氏(東大海洋研)に続いて2年連続で日本のウミガメ関係者が受賞するという快挙を目にして、我々日本の男児も頑張らねばと強く思った次第である。

 余談であるが、会議中に乾季の砂漠地帯に3日も雨が降ったのは、強烈な雨男である筆者と京大O氏が参加したことが原因との誠に不名誉な噂が流れた。しかしつい先日、「人が動けば雨が降る」という研究結果をNASAが発表してくれた。雨が降ったのは、急に町の人口が1割も増えたことが原因と信じたい。

SEASTAR参加報告 〜新たな出会いと交流を体験した2日間 in タイ国〜

2008年1月29日 白木里香(京大院情報)

SEASTAR_白木_1.gif 写真1:SEASTARの受付をする三田村さんと塩見さん

 2007年12月15日から17日にタイ国プーケットで開催された第4回SEASTAR2000及びアジア・バイオロギングシンポジウム(SEASTAR)に初参加しました。初めての学会発表でしかも国際学会への参加だったこともあって、緊張と興奮を胸に日本を出発しました。学会は三日間に亘り、発表内容はジュゴン・ウミガメ・スナメリなど絶滅の危機にある海洋生物の生態行動とその保護対策に関わる研究発表から、獣医の方々による生物の解剖学的発表に至るまで幅広いトピックで飾られました。個人的には、発表が一日目だったため、学会後半はリラックスして学会に臨めました。

SEASTARは、アジア諸国を中心に催される国際学会であるため、発表者の殆どの母国語が英語ではありません。通常の数倍の根気と集中力が要求されるコミュニケーションの場となった会場内で、発表に対する意見交換や共同研究案などが飛び交う場面が印象的でした。又同時に、研究者たちの興味と熱意がジェスチャーなどから滲み出る瞬間でもあったように思いました。

特に記憶に残っている口頭発表の一つは、新種の可能性のあるパラサイトの発見に関する研究内容でした。私はパラサイトに関する事前知識は極めて少ないのですが、そのトピックの新規性、資料映像の解りやすさと発表者のスピーチ力によって、聞き入ってしまう発表でした。近年の科学では、サイエンスの融合領域での研究が盛んなように感じられます。そのような環境の中、今回の発表者のような「他分野の研究者とのコミュニケーション」能力は今後研究を進めていくにおいて貴重なスキルだと感じました。

SEASTAR_白木_2.gif 写真2:ポスター発表の様子

発表後の食事の後には、会場周辺を良く知る方々の案内でナイトマーケットや夜の屋台に繰り出しました。目新しい食べ物につい興味津々で手を伸ばして、少し体重も増えたように思います。その証拠に唯一覚えたタイ語は、「アロイ」(タイ語で「おいしい」という意味)という言葉です。今回のSEASTAR参加は、新しい人との出会いと交流の興奮を改めて実感する機会となりました。今後も学会発表の機会を増やし、自分の研究に関心をもってくれる人々と自分の興味が刺激される研究にめぐり合いたいと思います。

「中国で感じたこと」

佐藤克文(東大海洋研)

 2007年11月6日から8日にかけて,中国の武漢で開催された日中バイオロギングシンポジウムに参加し,成果発表を行った.  口頭発表の後,何も質問がでず,座長が苦し紛れの質問で時間を稼ぐというシーンは,日本国内で開催される学会やシンポジウムではおなじみの光景だ.しかし,今回のシンポに限っては,そのようなシーンが一度も見られなかった.中国人がいつでも真っ先に手を挙げて質問するからである.似たような事は,欧米で開催されるシンポでもしばしば見られるが,中国人の姿勢は間違いなく欧米レベルにある.  「日本人はダメねえ」  内藤先生が奥さんに叱咤されたと聞き,心を入れ替えた私は途中から猛然と質問攻めに打って出た.しかし,気の利いた質問というのは難しいものである.  伝え聞くところでは,湯川秀樹は質問魔で,ゼミでも学会でも最前列に陣取って講演者を質問攻めにしたとか.その多くがトンチンカンな愚問であったが,10回に1回くらい,その質問をきっかけに大いに議論が盛り上がったそうだ.  万全のリハーサルをした内容を本番で予定通りに話して,その後なんのやり取りも無いのであれば,ビデオ講義と変わらない.わざわざ一堂に会する必要も無い.恥をかいても良いから,質問するのが良かろうと思う次第である.  シンポジウムとは別に,二点ほど印象に残る事があった.  水生生物研究所が,研究だけを目的とした小型鯨類の飼育施設をもっていることには大いに驚かされた.外見は水族館のようで,そこには専属の飼育員がいて,スナメリ数頭が飼育されていた.これまで,アメリカやヨーロッパの有名研究所を訪れた際,同様の施設を目にしたことはあった.「欧米にはかなわないなあ」と半ばあきらめの境地であった.ところが,同じアジアにこのような施設を有する国があるとは思っていなかった.しかも聞くところではJICA(国際協力機構)によって建設されたものだとか.投資先を間違えているのではと思わざるを得ない.  もう一つは,我々の宿泊したホテルが武漢大学のものであったことだ(Wuhan University International Academic Communication Center).日本で,ここまで立派な宿泊施設をもっている大学や研究所は見たことがない.見た目も内容も完全に一流大ホテルであった.先頃法人化した日本の大学が,これほどのホテル運営をする時代はくるのだろうか?  「やってみて,言って聞かせて,させてみて,褒めてやらねば人は育たず」との格言に従い,まずは「書く」部分だけでも雄弁になって見せようと思い投稿した次第である.

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オーガナイザーのお二人.赤松友成博士とDr. Wang Ding.お疲れ様でした.

Japan-China Biologging Science Symposiumに参加して

2007年12月20日 報告者:牧口祐也(北大院環境)

 2007年11月6日から8日にかけて,中国湖北省の武漢、IHB(Institute of Hydrobiology)で行われたJCBLOSS (Japan-China Biologging Science Symposium)に参加してきました。 武漢は長江(揚子江)とその最大の支流漢水の合流地点にある華中地区の高層ビルが立ち並ぶ大都市です。 日本および中国のバイオロギング研究者が多数参加し、熱い議論が交わされました。 発表内容としては水棲哺乳類、魚類、ペンギンおよびウミガメなど多岐にわたりました。その中でも特に、揚子江スナメリやカラチョウザメといった中国の希少種に関する行動生態を明らかにするための研究が多く発表されていました。 発表を通して動物の行動生態を明らかにするための道具として中国でもバイオロギングという手法が積極的に使われてきていることを強く実感しました。 しかし、バイオロギング手法を用いて行動生態を明らかにしたあとに次にそれらを具体的に、どのようなプロセスで希少種の保全につなげていくかということが非常に重要な課題であると感じました。

エクスカーションではバスで片道4時間半をかけ、揚子江の三日月湖に保護されている揚子江スナメリのフィールドツアーが行われました。 私はサケを研究対象魚として研究を行っているのですが、サケ以外の研究フィールドに足を踏み入れたことがなく未知のフィールドに胸が躍っていました。 三日月湖に到着後、船で進むこと数十分すると愛らしい姿のスナメリの群れを目にすることができました。 揚子江は思っていた以上に透明度が低く濁った河でした。

今回JCBLOSSでは自分の年代に近く若い方が多く参加されていました。 魚類以外のバイオロギング研究者の方たちとあまり話す機会がなかった私にとって非常に刺激になり、一緒にお酒を飲みながらとても有意義で楽しい時間を過ごすことができました。 次回は日本でのJBLOSSの開催が期待されます。

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JCBLOSSオーガナイザーの赤松友成博士

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夜の食事会にて。筆者は左から3番目

第18回日本ウミガメ会議(おじゃり申せ、種子島会議)

2007年11月24日 報告者:楢崎友子(東大海洋研)

日本ウミガメ会議は特定非営利活動法人日本ウミガメ協議会主催で毎年秋に開催される会議で、第18回目となる今回は鹿児島県種子島にて「おじゃり申せ、種子島会議」として開催されました。種子島は鹿児島から高速船で約1時間半の距離にある南北約60kmの細長く比較的平らな島です。北太平洋最大のアカウミガメの産卵地として知られる屋久島のすぐ隣りに位置し、前之浜をはじめウミガメの産卵に適した砂浜が広がっています。この会議には研究者だけでなく、日本各地からボランティアや水族館関係者の方々が集い、研究発表や情報交換を行います。今年も日本各地における産卵状況や放流個体の再捕状況の年間報告、混獲調査、ストランディング個体の調査、標識に技術に関する報告、民俗学的な研究など多岐にわたる発表が行われました。特に印象に残ったのはボランティアでウミガメ調査を行っている定置網漁業を営む漁師さんの発表で、日々定置網に入網したウミガメの体サイズを測定し、標識装着を行っているとのことでしたが、その仕事量に頭が下がりました。ウミガメの調査、研究はボランティアの方々のご協力なしにはなし得ないと実感した瞬間でした。また今年はオーストラリアからコリン・リンパス博士による南太平洋のウミガメに関する特別講演もありました。リンパス博士はオーストラリアにおけるウミガメ研究の第一人者で、バイオロギング手法を含む様々な手法を用いて研究を行っている方です。私は幸運にもリンパス博士と芋焼酎片手にお話する機会に恵まれ、淡水ガメの潜水能力など面白い話を聞くことができました。 この会議は一年間の研究、調査の発表および情報交換の場であると同時にウミガメ関係者と親睦を深めるという重要な場でもあります。鹿児島と言えば芋焼酎。新鮮な海の幸をつまみに夜の部もおおいに盛り上がりました。若い衆に囲まれてカラオケを熱唱している師匠を胸に刻みつつ、いろんな意味で頑張ろうと思える楽しい会議でした。

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種子島南種子町の前之浜。砂の量、質ともにウミガメの産卵場に非常に適しているが、その割に産卵上陸数は少ないらしい。なぜだろうか?

ランディ・デービス先生の特別講義

2007年11月22日 京都大学 荒井修亮

来日中のテキサスA&M大学ガルベストン校のランディ・デービス教授の特別講義が、11月19日に京都大学大学院情報学研究科で行われました。演題は"Hunting behavior of Weddell seals based on video recorded observations and three-dimensional movements"です。実際に得られたビデオ映像と豊富な画像を用いた大変丁寧な講義をしていただきました。

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海洋理工学会平成19年度秋季大会

2007年11月22日 京都大学 荒井修亮

2007年11月1日ー2日に表記大会が京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールで開催されました。初日、学会賞記念講演に引き続き、シンポジウム「海洋基本法時代における海洋理工学の展望」が行われました。海洋基本法を所管する内閣官房総合海洋政策本部の本田直久参事官及び社団法人海洋産業研究会の中原裕幸常務理事の基調講演では、同基本法の制定を巡る内外の情勢と制定の意義について、分かりやすい具体的な例で説明がありました。また、引き続き、水産庁生態系保全室長武井篤氏、(独)産業技術総合研究所山崎哲生氏及び(独)海洋研究開発機構門馬大和氏からそれぞれ、生態系・環境と漁業活動、EEZ・大陸棚の深海底鉱物資源開発と環境問題及び海の鹿鳴館時代ー海洋観測の現場の話題提供が行われました。法律の話なので、最初は退屈するのではないかと、コンビーナーとしても実は、心配していたのですが、当日は講演者の方々の絶妙なプレゼンテーションと身近な海洋の話題でもあり、会場からの質疑や意見が沸き起こり有意義なシンポジウムとなりました。詳細はこちらをご覧下さい。http://amstec.jp/H19autumn.2.html

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左から 門馬氏、中原氏、山崎氏、本田氏、武井氏

第6回国際ペンギン会議参加報告

2007年10月23日 國分亙彦(総研大極域科学専攻)

 2007年9月3日から9月7日まで,第6回国際ペンギン会議(International Penguin Conference: IPC)に3名(極地研・高橋さん,帝京科学大・森さん,総研大・國分)で参加してきたので,その時の様子を報告します。

 IPCは3〜4年に1回,世界のペンギン研究者が集結して行われる国際学会です。今年はオーストラリア・タスマニアの州都ホバートにあるタスマニア大学で,9月3日から9月7日までの5日間にわたって開催されました。アルゼンチン,オーストラリア,チリ,フランス,ドイツ,イタリア,日本,ナミビア,ニュージーランド,南アフリカ,スペイン,イギリス,アメリカなど世界各国から200人ほどが集まり,約60件の口頭発表と,約90件のポスター発表が行われました。

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写真1-会場となったタスマニア大の大ホール

 この学会の特徴は,1つの大きな会場で,次々と口頭発表が行われる,ということです。複数の会場に分かれての同時平行式ではないので,会場にいる皆が一人ひとりの発表を聞くことができます。会場のエントランスホールやその周辺にはポスターが張り出されました。口頭発表4〜5件の間に1回,ティータイムや昼食休憩が入り,直前にあった発表や,ポスターの内容について議論を交わしたり,お互いの持っているフィールド情報,使ったデータロガーについての情報を交換したりします。全体的にみて,時間をたっぷりと使い,研究者同士の交流機会を重視した学会運営方式である,という印象を受けました。毎夕2時間程度,配られたワインを片手にしての「ナイトセッション」,会議3日目の夜には,海辺にあるヨットクラブでの晩餐会,4日目の夜には,一般聴講者も交えての,世界のペンギン研究・保護活動の現状に関する講演会がありました。

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写真2-会場内の様子

 各研究発表の内容は,ペンギンの採餌生態,保護・管理活動,生理機能と個体数動態,行動生態など,多岐にわたっていましたが,これらの発表の中でも私の印象に残ったのは,フランスのチームが長年,亜南極の島々でデータロガーを使って測り続けたペンギンの採餌行動と,周辺を流れる海流・南極前線・渦などの変化をからめ,採餌行動に与える海洋環境変動の影響を示した研究です。また,ペンギンの体内に蓄積されている産業活動由来の化学物質の量の経年変動から,近年,南極沿岸の氷がその中に入っていた化学物質と共に溶け出していることを示唆する研究も印象的でした。どちらも,ペンギンの行動や生体に現れる測定対象を長期的にモニターし,それを再構成・再解析することで,地球環境の変動を読み取ろうとしている,という点に感心しました。

 私にとっては,これが海外での学会で発表をする初の機会になりました。全くもって英語には自信がなく,原稿片手の発表となり,おそらく発音もひどいものだったと思いますが,発表の後には何人もの人からアドバイスを頂いたり,結果について議論したりできて,自分の研究が人々の興味を魅いたのだ,という実感を持つことができました。また面白そうな研究発表をしていた研究者に話しかけ,自らの考えを打ち明けたりもしてみました。これからまだまだ研究面や,研究についてのコミュニケーションの手段である英語について,努力し改善をする必要性を感じたものの,海外での学会に参加して発表をするのは大変におもしろいことだ,という感想を抱きました。

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写真3-David Ainley博士と談笑する筆者

 これまでの6回はペンギン生息地のある南半球の国々で開催されていたIPCも,次回は2009年10月,アメリカ・ボストンで開催される予定である,とのアナウンスが最後に流れました。北半球での開催はこれが初となります。

Second International Symposium on Tagging and Tracking Marine Fish with Electronic Devicesに参加して

2007年10月18日 河端雄毅(京都大学大学院 情報学研究科)

 2007年10月8日から11日にかけて、スペインのSan Sebastianで表記のシンポジウムが開催されました。日本人の参加者は、私と遠洋水産研究所の松本隆之さんの2人のみでしたが、非常に興味深い内容が多かったため、少しでも皆様に情報提供ができればと思い、投稿させていただきました。

 本シンポジウムは、世界の最先端の研究および、新しいことにチャレンジしようという試みが多かったように思います。発表のレベルは非常に高く、論文でよく目にする研究者も複数発表されていました。そのような研究者とビールを飲みながら楽しく会話することができたのは、素晴らしい経験でした。また、私と同じように1人で参加している大学院生も多数おり、大変仲良くなることができました。

 本シンポジウムでは、Modelling Behavior、Data Processing、Tag and Attachment Technology、Resource Managementの4つの部門に分かれて研究発表が行われていました。詳しい内容は、本シンポジウムのホームページ(http://unh.edu/taggingsymposium/)でアブストラクトがダウンロードできますので、そちらをご覧ください。また、本シンポジウムのProceedingsもReview in fish biology and fisheriesに掲載される予定です。ここでは、私が興味深く感じた、いくつかの新しいシステムおよび研究について、紹介したいと思います。すでにご存知のものも多いとは思いますが、ご理解いただきたく思います。

1. 新たなシステム

1-1. Business Card Tag

 このTag(ロガー)は、受信範囲の狭い受信機と超音波発信機を内蔵しており、発信機を装着した別の動物に遭遇した場合に相手のIDをロガーに記録するというものです。これにより、これまでの測位精度では困難であった社会行動(群れ行動、繁殖行動、摂餌行動など)の解明に繋がるのではないかと考えられています。現在、Hawaii大学の研究グループが実験水槽内の鮫で予備実験を行っており、順調にいけば、来年の今頃にはVemco社が発売を開始するようである。

1-2. 摂餌行動測定ロガー

 摂餌行動を測定するための3つのロガーが本シンポジウムで発表されていました。IMASEN(Inter mandibular angle sensor)の魚への応用、胃酸を測定するPHロガー、胃の動きを調べるMotilityロガーです。IMASENでは、口の開閉を調べることが可能で、タラの摂餌行動を測定するのに応用されていました。PHロガーは胃の中の酸性度を調べることができ、いつ摂餌したかを調べることができるというものです。また、Motilityロガーは、ブロッコリー形のスポンジをロガーの頭につけ、その圧縮具合で胃がどの程度活発に動いているかを測定するロガーです。摂餌イベントが起きてから一定時間が経ってから、動きが活発になるのが測定できるとのことでした。PHロガーとMotilityロガーに関しては、論文が出ております(Journal of Experimental Marine Biology and Ecology 345 (2007) 129–140)。

1-3. 超小型ピンガー

 Vemco社から更に小型のV6(最小のもので14 mm)が今春に発売されるそうです。周波数が異なるため現在のVR2では測定できないそうですが、新しく発売されるVR2Wでは測定が可能だとのことです。これを使えば、10 cm程度の魚にも発信機の装着が可能になると考えられます。私は人工種苗の放流技術に関わる研究を行っており、サイズの異なる種苗の放流効果を調べる必要性を感じていたため、ピンガーの小型化は非常に有難い情報です。

1-4. 3軸加速度ピンガー

 加速度ロガーの発信機版がVemco社から発売されます。サイズはV9(直径9 mm)です。元々は、発信機が供試魚から落ちた、もしくは供試魚が死んだ場合の測定を可能にするために作られたそうですが、上手く応用すれば尾鰭の羽ばたき頻度も測定できるかもしれません。

1-5. 高精度位置推定受信機

 Vemco社のVRAPやVCAPは、発信機の到着時間差を用いて高精度の位置推定を行うシステムです。このシステムでは、ミリセカンド単位の時間差の測定を行う必要がありますが、常に時刻情報を受信機に送信し続けることにより、これを可能にしています。そのため、大掛かりなシステムとなり、受信範囲も限られています。新しくLotek社の開発した受信機は、このシステムとは異なり、非常に高精度の時計を内蔵し、受信機の温度を一定に保つことで、受信機による時計のずれを少なくし、かつ予め設置した水中内の発信機によりキャリブレーションを行うことで、ミリセカンド単位の時間差の測定を可能にしているとのことです。この受信機は、VR2を少し大きくした程度の大きさで、VR2と同じようにアンカーを用いて海底に設置すればよいので、VR2のArrayのようにモニタリング海域に密に設置すれば、かなり広範囲に亘る生物の詳細な移動が測定可能になると考えられます。これについても論文が出ております(Ecology of Freshwater Fish 2007: 16: 417-424, Marine Technology Society Journal 2005: 39: 17-27)。

2. 研究について

2-1. 大規模な回遊行動の解明

 VR2を用いて、回遊行動を解明している研究がPOSTを始めとし、様々な場所で行われていました。POSTと同様にカーテン状に受信機を設置したNorwayのAlta FjordとAlata River、オーストラリア西海岸での南マグロの幼魚の追跡、川の大部分をVR2によりカバーしたカリフォルニアのSacramento Riverなどです。1研究あたりの供試魚は100尾を超えるものが多く、規模の大きさに大変驚かされました。更には、これらのネットワークを世界中に拡大しようという試みであるOcean Tracking Network がカナダのDalhousie大学を中心に行われております(http://www.oceantrackingnetwork.org/)。

2-2. 機器および解析プログラムの標準化

 現在、様々な研究グループが異なる機器を用いてデータを取得し、独自に作成したプログラムを用いて解析を行っています。本シンポジウムでは、それを標準化しようという試みが複数発表されていました。これは、今後のバイオロギング(バイオテレメトリー)研究を効率良く進める上で、非常に重要なことだと思います。実際に、海洋動物は私達の想像をはるかに超える広範囲の動きを行っていることが確認されており、発信機の規格を標準化すれば、遥か離れた海域で自分が調査している海洋生物が見つかるということがあるかもしれません。また、以前に東大海洋研の佐藤先生も仰っていましたが、同様のデータ解析のプログラムを、異なる研究グループが独自に開発することは、非常に無駄が多いと思います。今後、プログラム言語を統一し、アルゴリズムを論文のような形で引用可能にすることで、世界中の研究者が様々な解析プログラムをWeb上で自由にダウンロードできるようになることが期待されます。

2-3. 超音波テレメトリーを用いた、繁殖行動の研究

 VRAPを用いて、養殖網から抜け出した養殖タラが天然のタラと繁殖することが可能であるかを調べた研究発表がありました。天然タラと養殖タラは水深分布が異なるものの、非常に似た動きを示しており、今後インタラクションの起こったところのデータを詳しく解析するとのことでした。上記の高精度の位置推定システムやBusiness Card Tagを用いれば、このような社会行動に関する研究が増えてくるのではないでしょうか。

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上から順に、San Sebastianのビーチ、町並み、学会会場です。 非常に気持ちよいところでした。天気の良い日は、沢山の人が屋外のカフェやビーチで日光浴を楽しんでいました。

Animal-borne Imaging Symposium参加報告

2007年10月17日 佐藤克文(東京大学海洋研究所 国際沿岸海洋研究センター)

 2007年10月10日から13日にかけて,表題の国際シンポジウムがアメリカ合衆国ワシントンDCにあるナショナル・ジオグラフィックにて開催された.今回日本からの参加者は,私と内藤靖彦先生夫妻そして現在東京大学海洋研究所客員教授であるランディ・デービス博士(テキサスA&M大学)の計4名であった.顔ぶれを見回す限り私が参加報告を記すのが良かろうと思い投稿した.

 今回のシンポジウムにはバイオロギング分野の中でも,特に動物搭載型の画像記録装置を用いて研究を進めている人々が集まった.研究成果や装置開発の現状が報告され,分野の進むべき方向性などについての議論がなされた.ナショナル・ジオグラフィック主催のシンポジウムらしく,従来の学会形式による発表だけでなく,研究者以外の人々や子供達を対象としたパネルディスカッションや柔らか講演なども行われた.エンターテイメントのプロフェッショナルによる演出は,「今後の参考となる」といった表現がためらわれるほどの高いレベルにあり,研究成果を一般社会に還元することの大変さを思い知らされた.

 朝8時から夕方6時までびっしり組まれた発表に加え,夜の部も毎日しっかり企画されており,密度の濃い3日間であった.個々の発表内容については,「けっして日本は負けていない」という感想を抱いたが,いつでもどこでも強気一辺倒の私の感想はあまりあてにならないだろう.バイオロギングとは異なる分野の生物学者である内藤夫人のコメントを紹介すると,「学問上の発見という観点から見れば,ほとんどの発表は今ひとつ.それらに比べれば,日本のグループによるこれまでの一連の成果はなかなか良い線をいっているのではないか」とのことであった.さらに「何故外国発ばかりで,日本からNatureやScienceに論文が出ないのかしら?」と,聞きようによってはお褒めの言葉を頂戴して何となく嬉しくなる一方で,日々私に激しく降り注ぐプレッシャーの源がわかったような気がした.

 2日目のレセプションの場で,背の高い若者から唐突に話しかけられた.動物搭載型の小型カメラでカラスの行動研究を行っているとのこと.彼こそ,つい先頃サイエンスに論文を発表したクリスチャン・ルッツ博士であった(Rutz et al. 2007. Video cameras on wild birds. Science 10.1126).論文についてのニュースはNatureのweb site上にも掲載されている(http://www.nature.com/news/2007/071004/full/news.2007.144html).今から2年前にイギリス留学中の高橋晃周さん(国立極地研究所)から日本の画像ロガーについて情報収集して,その後自ら装置作成に乗り出し,画像を電波で送信する小型カメラを使ってカラスの道具使用についての発見をした.日本製の画像ロガーに大いに触発されたとのことで,今後どんな装置を作ったら面白いだろうかといった話題で大いに盛り上がった.

 シンポジウムでなされた発表の多くは,ナショナルジオグラフィック・リモートイメージング部門のグレッグ・マーシャルさんが開発したCrittercamを使った動画に関するものであり,対象動物はサメ・カメ・クジラ・アザラシ・クマと多岐にわたっていた.他にはテキサスA&M大学のランディ・デービス博士らによる動画の発表や,スコットランドセントアンドリュース大学のサーシャ・フッカー博士によるVenus cameraによって得られた静止画に関する発表,そして日本発のDSLカメラによる発表などがあった.Crittercam最新版のお披露目もあり,小型化に向けた改良が確実に進んでいる事が実感できたが(径57 mm,長さ254 mm,空中重量700 g),静止画に特化した日本のDSLカメラが依然として世界最小である事実に変わりは無かった.

 バイオロギング分野の創始者であるジェリー・クーイマン博士が基調講演で研究の歴史を発表する一方で,DSLカメラ生みの親である内藤先生は,一般講演のセッションで2回の発表を精力的に行なった.その内容は,アザラシの顎に加速度データロガーを付けることによる捕食行動把握の試みや,次世代型高分解能画像ロガーの開発状況などであった.引退したはずの歴史上の人物が,いまだにカメラ開発や手法開拓に熱意を燃やす様子を目の当たりにして,聴衆の多くが感銘を受けている模様であった.分野を牽引してきたことに対する敬意の現れだろうか,最終日晩餐会の場で,Lindblad社から豪華船旅の権利が内藤夫妻にプレゼントされた.予想外の出来事にとまどいつつも嬉しそうな夫妻の様子が印象的であった(写真は内藤夫妻とグレッグ・マーシャル).

 最終日の総合討論は,欧米人らしい盛り上がりを見せた.得られる画像情報をどのように解析したらよいかといった議論に始まり,今後皆で解析マクロを共同開発し,誰でも使えるようにweb上で提供しようなどといった前向きな提案や,バイオロギング分野を進める研究者共通の課題や問題点について情報交換する場を持とうではないかといった意見が出た.2年ないし3年毎のペースでバイオロギング国際シンポジウムが開催されているが,それ以外にも随時情報交換ができる場が欲しいといった意見が出され,バイオロギングホームページを立ち上げてはどうかといった提案があった.

 日本では既にバイオロギング研究会が発足し,毎年のシンポジウム開催に加えて,ホームページやニュースレターによる情報交換が行われている.しかし,他の国にはそれらに相当する動きはまだ無い.今回の総合討論の場で,ランディ・デービス博士から,「日本では内藤さん達がそんな活動を既に始めているようだが・・・」と突然話しを振られ,謙譲の美徳にもとづく沈黙を決め込んでいた私と内藤先生は大いに狼狽した.「It depends on you, Katsu.」と内藤先生に先手をとられて,私は追い詰められた格好になったが,「それでは日本からまず試みとしてバイオロギングホームページ英語版を立ち上げます」などといった威勢の良い台詞を吐くことはできなかった.

 似たような展開は,2005年にセントアンドリュースで開催された第2回バイオロギングシンポジウムにおいてもみられたが,日本側からは特に積極的な働きかけは無いまま今日に至っている.第1回シンポジウムが開催されたのが日本であったという経緯もあり,今 手を挙げればバイオロギング分野の国際事務局という役割が転がり込んでくるだろう.ある意味おいしい状況が見えてきた一方で,日本バイオロギング研究会のホームページへの投稿は相変わらず寂しい状況にある.月に1度のニュースレター発行にあたっては,ネタの提供も含めて現在の事務局(京都大学荒井研究室)に頼り切っているのが現状だ.

 今後,世界の研究会へと向かうのか,現状維持が精一杯か,尻すぼみに終わるのか,三通りの可能性が等しくあることが実感できた三日間であった.

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International Symposium on Integrated Coastal Zone Management

2007年7月13日 報告者:三田村啓理(京大院情報、ノルウェー自然研究所)

ノルウェー王国南部の町アーレンダル(Arendal)は、スカンジナビア半島の南部に位置する海沿いの綺麗な町です。この町には、多くのノルウェー人が夏季休暇を過ごすためにやってきます。このアーレンダルで、2007年6月11日から14日まで、International Symposium on Integrated Coastal Zone Management(ICZM)が開催されました。

 全世界の沿岸域は、多種多様な生物の再生産の場や成育場として重要な役割をはたしています。それと同時に、人間にとっても養殖、遊魚、物資輸送、産業などで重要な場所でもあります。このため今後沿岸域を持続的に利用していくためには、多様な研究分野が協力していく必要があります。本シンポジウムは、研究分野の垣根をこえて研究者同士が交流を深めるとともに、新たな沿岸域の持続的利用方法を議論することが目的でした。本シンポジウムでは、テーマがCoastal habitats、Impacts on coastal systems、Integrated Coastal Management、Coastal Governanceの4つにわけられ、ヨーロッパだけでなく北南米、アフリカ、アジア、オーストラリアの40カ国の研究者が160の発表をおこないました。発表内容は、テレメトリーを使用した魚類行動の研究をはじめ、水産資源、海洋土木、合意形成の研究など多岐にわたっていました。この中で、日本からは広島大学、港湾空港技術研究所、京都大学から合わせて6名が発表しました。

 テレメトリーを用いた研究では、南アフリカ国の沿岸域にあるMarine Protected Area (MPA)を評価するためにWhite Stumpnoseの移動を把握する研究や、ノルウェー沿岸に設置された養殖生簀から逃げ出したAtlantic Codの移動を把握する研究などが報告されました。これらの報告では、テレメトリーを用いた研究を今後どのようにICZMに貢献するかを模索していました。本シンポジウムでは、ICZMをキーワードとした多岐にわたる研究分野の発表を一度に聞くことができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。第2回目のICZMシンポジウムは、4年後の2011年に同地アーレンダルで6月12日から16日まで開催される予定です。

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アーレンダルは小さな町で、1時間あれば歩いてまわれます。港には小さな船がいくつも係留されており、昼間は夏季休暇中のノルウェー人が舟遊びを楽しんでいました。港沿いにはバーが軒を並べており、夕方になると人々が集まりはじめ「スコール(乾杯)」と言いながら夕涼みをしていました(左)。シンポジウム会場は、町の中央広場にありました(右)。

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シンポジウム2日目の夕方、エクスカーションでシンポジウムを主催している研究所Institute for Marine Researchを訪れました。研究所前では、ノルウェー料理とビールが我々を待っていてくれました。海を見ながら食事を楽しむとともに、研究施設を見学しました。

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開会式(左)と南アフリカのWhite Stumpnoseの移動に関する研究発表(右)。

7th CONFERENCE on FISH TELEMETRY

2007年7月10日 報告者:本多健太郎(北大院環境)

 6月17日から21日にかけてデンマークのSilkeborg,Freshwater Center内で行われた7th Conference on Fish Telemetryに参加してきました。Silkeborgはユトランド半島中央部に 位置する田舎町で,何とも言い難い静寂さに包まれた素敵な所でした。この会議では,ピンガーやデータロガーなどの精密機器を使用して水中生物の行動追跡を試みている研究者が数多く集まりました。参加者の多くはヨーロッパの方々であり,発表内容もヨーロッパ周辺に生息するトラウト類やノーザンパイク,ヨーロッパウナギのものが多く見られました。また,ダムを境に魚が魚道をどのように移動しているのかについての発表や,湖内での魚群の回遊についてなど,陸域や沿岸域で魚類の行動追跡を行った研究発表が多数を占めました。日本からは総勢9人がデンマークに乗り込み,それぞれの研究内容を発表しました。

 そんな中,私はオーストラリア南西海域に来遊するミナミマグロ幼魚の行動生態についての研究発表をさせて頂きました。内容を簡単にお話しすると,マグロは体サイズの大きなものほど沿岸域に集中して分布し,また海流の強弱が彼らの分布に大きく影響していた,というものです。

 自身2回目となる国際学会への参加は,聞くも話すも非常に有益なものばかりであり,私の研究に対するモチベーションを高めてくれました。特にAnders Nilsson博士による,ノーザンパイクは体サイズの違いによって戦略が異なるという研究発表は,行動データをそれぞれのサイズの魚の思惑(戦略)と合わせてお話して下さったため,非常に興味深く聴かせて頂きました。また,光永靖博士が発表された,ソデイカは昼夜の鉛直移動に伴う急激な水温変化に耐えられるという研究結果は,海洋生物が利用する空間の性質は,それを利用するものの思惑によって大きく左右されていることを考えさせてくれました。生き物の行動には多くの場合,それに見合った理由が存在しています。私は今後も,その理由を突き止めるために‘行動’をキーワードに研究活動に励みたいと思います。

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(写真1)学会会場:Freshwater Center
(写真2)報告者発表中
(写真3)会場近くのグラウンドで参加者を集めてサッカー(因みに22時頃)

南極研究観測シンポジウム

2007年6月22日 報告者:塩見こずえ(京大院情報)

 2007年6月15日、国立極地研究所で行われた南極研究観測シンポジウムに参加しました。これは、「次世代の南極観測事業計画を検討するために、新しい南極観測船が就航して2年目となる第52次南極観測(2010-2011年シーズン)以降10年程度の期間に、南極地域及びその周辺海域で実施を目指している研究者からのニーズや観測計画のシーズを求めて」(国立極地研究所HPより引用)開かれたもので、研究の成果を発表するのではなく、研究計画を提案する場であるという、珍しいタイプのシンポジウムでした。「現時点での実現可能性や経費等は問いません」(再び国立極地研究所HPより引用)というお言葉が何より魅力的であると感じました。

 そのようなわけで私も、「潜水動物はどのようにしてシンクロダイブを実現しているのか?」というテーマでポスター発表をさせていただきました(写真1)。アデリーペンギンウェッデルアザラシに見られる他個体と同調した潜水(シンクロダイブ)において、一体どのようにして潜水終了のタイミングを合わせているのかということに着目した実験です。あまりにも非現実的な部分が満載の実験計画であった(アデリーペンギンにロガーを乗せまくる計画であった)ことを少々反省したものの、同じ研究室以外の人と今回のようにあれやこれやと実験のアイデアについて話をする機会というのは滅多になかったことですので、とても楽しい時間でありました。また、高橋晃周さんの「海氷域におけるアデリーペンギン周年生態観測」に関するポスター発表(写真2)を聞くこともでき、シンクロダイブへの興味がさらに増したように思います。ただ、スーツにスニーカーを履いていってしまったことだけが悔やまれた一日でした。

 様々な意見をくださった方、そして常に親切な対応をしてくださったシンポジウム担当者の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

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(写真1)筆者のポスター。エレベーターを待つ人の視界に入れる作戦。
(写真2)高橋さんのポスター。なんともセンスのよいポスター。

平成19年度日本水産学会春季大会

2007年4月23日 報告者:西澤秀明(京大院情報)

 3月27日から31日までにかけて東京海洋大学品川キャンパスにおいて開催された日本水産学会の平成19年度春季大会に参加し、口頭発表を行いました。大会は初日と最終日のシンポジウムと3日間の研究発表で構成されていました。まず、驚いたのは研究発表の数の多さです。複数の会場が用意され、様々な分野の発表が終日行われました。バイオロギングの分野でも数多くの発表が行われました。対象となる生物は、魚類だけでなく爬虫類(ウミガメ)、鳥類(オオミズナギドリなど)、哺乳類(スナメリなど)と多岐に渡るものでした。その内容も、三次元的な行動解析、遊泳行動・飛翔行動の解析、鳴音解析からデータロガーの回収システムに至るまで、バラエティーに富んだものでした。筆者もアオウミガメの幼体の遊泳行動について発表しました。

 本年度から、本大会でポスター発表のコアタイムが設けられたことが大きな特長だったようです。コアタイムにはポスター発表の詳しく話を聞くことができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。バイオロギングの分野以外でも、興味深い研究が数多くありました。名波敦さん(水研セ西海水研)の砂浜海岸に出現する稚魚の遊泳能力に関する研究では、稚魚の遊泳能力について、水槽内で流れを発生させて検証したものでした。データロガーの小型化が進んだとはいっても、稚魚にデータロガーを取り付けることは不可能であり、まだまだ知ることのできない世界があることを感じました。また、中田和義さん(土木研究所)らのブラウントラウトによるニホンザリガニの捕食についての研究では、ブラウントラウトが季節的に食性を変化させる可能性があることを知りました。行動における表現型の可塑性についてはデータロガーを用いて行動情報を取得する際にも重要になるのではないかと考えました。

 大会ではこうした発表以外にも、学会賞受賞者による講演や各種のシンポジウムもおこなわれ、大変充実した時間を過ごすことができました。

Gakkai070329_0116.jpg 中部講堂で開催された会員交歓会の様子

27th Annual Symposium on Sea Turtle Biology and Conservation

2007年3月9日 報告者:楢崎友子(東京大学海洋研究所)

 

2007年2月24〜27日、マートルビーチ(アメリカ・サウスカロライナ州)にて第27回国際ウミガメシンポジウムが開催されました。このシンポジウムは毎年1回開催され、ウミガメに関する生物学的研究から社会学的研究にいたるまで様々な分野の研究発表、さらに保全プログラムの検討、報告が行われます。今年は美しいビーチを臨むリゾートホテルで口頭108題ポスター285題の発表が行われました。

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(左)会場から臨むマートルビーチ (右)ポスターセッションの様子

 

行動に関する研究としては、特に衛星追跡手法を用いた研究が目立ちました。太平洋や大西洋、そしてアフリカ沿岸域など世界各地でアカウミガメ、アオウミガメやオサガメなどを対象とした研究が幅広く行われているようです。研究例の少ない亜成体やオスを対象とした研究も報告されていました。しかしBrendan Godley博士は、多くのウミガメを対象とした衛星追跡調査が科学誌に出版されてない現状を述べ、研究成果を正式な場で公表することの重要性を指摘していました。

また今年は「保全を目的とした脊椎動物の追跡」と題するシンポジウムが同時に開催され、Mike Fedak博士、Bruce Mate博士、Rory Wilson博士、Molly Lutcavage博士といった海棲哺乳類や魚類の専門家の方々の講演を聞く機会に恵まれました。特にRory Wilson博士は、初心者には理解しにくい、加速度データから動物の行動を把握する方法を非常にわかりやすく説明され、大きな反響を呼びました。今回筆者は、加速度および地磁気を記録するデータロガーを用いた三次元的行動解析に関するポスター発表を行いました。秒単位で自然環境下の行動が把握できるというデータロガー特有の利点に皆さん興味を持たれたようで、多くの方々とディスカッションすることができ、この度ベストポスター賞をいただくことができました。この場を借りてご協力、ご指導いただいた皆様に感謝いたします。現在ウミガメの野外における行動研究は衛星追跡手法が主流となっていますが、加速度および地磁気データロガーを用いた研究が盛んに行われる日は近いと感じました。

このシンポジウムでは、毎年オークションなど発表以外のイベントも行われます。オークションによる収入は、次回のシンポジウムに参加する学生達の旅費や滞在費のサポートとして用いられるそうで、私たち学生にとって非常にありがたいイベントです。また一貫してフレンドリーな雰囲気が保たれており、世界各国の学生達だけでなく著名な研究者の方々とも交流することができました。楽しい時間を過ごしつつも、これからの研究活動に対する士気が高まる有意義なシンポジウムでした。

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(左)オークションの様子 (右)Rory Wilson博士と。筆者は一番左。

 

34th Annual Meeting of the Pacific Seabird Group

2007年3月8日 報告者:伊藤 元裕(北海道大学大学院水産科学研究院)

 2007年2月7日〜11日、アメリカのカリフォルニア州モントレーにおいて開催されたPacific Seabird Group(PSG)の年次大会に参加してきました。PSGは、北米を中心とした環太平洋地域の海鳥研究者が集まる学会です。本年は、「Seabird Tracking and Sensing Applications.」と題された、特別セッションが企画されておりGPSロガーやジオロケーターによる行動追跡技術を用いた海鳥研究が数多く発表されました。
 14題の口頭発表により、行動を微細スケールで追跡するマイクロデータロガーが海鳥の採餌戦略・生活史の解明や保全生態学へ応用など多岐にわたる分野に貢献しうることが示されました。一例を挙げますと、GPSロガーを用いた微細スケールでの行動追跡が、海鳥パッチレベルの採餌行動を明らかにするという研究に大変興味を持ちました。大きなスケール(数百から数千km)での個体毎の餌場の固着性は、熱帯域よりも温帯域や極域において顕著であり、餌の予測可能性は後者においてより高いことが示されました。しかし、より小さなスケール(数十kmから数百m)で見ると、カツオドリ類やアホウドリ類において種や利用するハビタットによってその固着するスケールに大きな変異があるようです。また、ロガー研究における‘gear effect’ の定量化の必要性と過去の研究の問題点を豊富なレビューをもとに紹介し、今後行われるべきコントロール群を用いた厳密な実験設定を示す発表もありました。
 学会期間中は、馴れない英語や時差ぼけとの戦いの日々ではありましたが、野生のラッコやアシカが群れる海岸を間近に臨む最高の環境の中、多くの先端的な情報を得るとともに、気軽に様々な方と意見交換をすることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。

http://bg66.soc.i.kyoto-u.ac.jp/biologging/wiki_image/itoh/itoh_1.jpg

左から筆者、Henri Weimerskirchさん、依田 憲さん、Scott Shafferさん

2006年度勇魚会(海棲哺乳類の会)シンポジウム「研究発表大会」「イルカの生理学-飼育への応用-」参加報告

2007年3月7日 報告者:酒井麻衣(東京工業大学・勇魚会・JSPS)

 2007年3月3日(土)、4日(日)に東京で開催された2006年度勇魚会(海棲哺乳類の会)シンポジウム「研究発表大会」「イルカの生理学-飼育への応用-」(http://www.geocities.jp/isana_kai/)に参加してきました。

 1日目、研究発表大会では、専門学校生の卒業研究から、修士論文の発表、研究者による研究失敗→成功談の発表まで幅広く行われました。参加者による投票が行われ、各賞が決定されました。私もイロワケイルカの母子の接触行動についてポスター発表したのですが、学会とは異なり、参加者層が一般社会人から水族館関係者、研究者、学生まで多岐にわたっていたため、水族館のトレーナーさんから種による違いを教えていただいたり、一般の方からサカナの似たような行動を教えていただいたりと、とても収穫が多かったです。「海棲哺乳類の写真展」では、各フィールドからのすばらしい写真が寄せられ、参加者の目をひきつけていました。私も次のシーズンでは御蔵のイルカの水中写真を撮ってこようと決意しました。「勇魚のお宝オークション」では写真展の写真や、アウトドア用品、学会記念カバンなどが出品され、高値でオトナ買いしてくださる参加者もいらっしゃいました。私は御蔵島のミネラルウォーター「御蔵の源水」を12本出品したのですが、3本しか売れなくて残念でした。オークションの落札金は、研究奨励金として賞の受賞者に授与されました。一般の人も広く楽しめるヤワラカ企画として行われた「みんなでツクる!海棲哺乳類ゲーム」では、息を止めることで心拍数が下がる徐脈の実験をしたり、目隠しをして音を使って壁の位置を探るエコーロケーションを体験したり、参加者を鯨類に見立て標識再捕法で参加者数を推定したりと、みなさん和気藹々と参加していました。専門学校の先生は、授業に生かしたい!と熱心にメモを取っておられました。懇親会では、水族館のトレーナーさんと知り合うことが出来、研究をしたかったら来てもいいよと言っていただけました。様々な方がいらしていたので、そのような出会いがきっと他にもあったことでしょう。

 2日目の講演会「イルカの生理学-飼育への応用-」では、研究者の皆さんと水族館の獣医さんらの一般向けのわかりやすい講演を聴くことが出来ました。パネルディスカッションでは、水族館が研究者にもとめること、水族館研究の際に必要なことなどに対し、両方の立場からの意見を聞くことができて参考になりました。この日のヤワラカ企画は「私の動物自慢」と題し、水族館のトレーナーさんたちの飼育個体への愛を感じる発表や、御蔵島のミナミハンドウイルカのIDボランティアが12年にわたって追い続けたイルカの成長記録などが発表されました。自慢大賞は名古屋港水族館のシャチのクーを担当するトレーナーさんが受賞し、次号の機関誌『勇魚』(http://www.geocities.jp/isana2006jp/ )の表紙は、イラストレーターの河合晴義さんによるクーのイラストが飾るというプレゼントがされました。次号の表紙が楽しみです。

 今回のシンポジウムは、123名の参加者があったそうです。水族館関係のみなさんと知り合いになることが出来た点や、一般の方も参加しやすい会だったためにイルカのIDボランティアの皆さんなども参加してくれて交流できた点が、学会参加とは異なる収穫だったと思います。

国際シンポジウム「未知の世界へ,神秘の深海生物を探る」参加報告

2007年3月6日 報告者:三谷曜子(東京工業大学・JSPS)

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 2007.2.23(金)-25(日) 沖縄美ら海水族館にて開催された国際シンポジウム「未知の世界へ,神秘の深海生物を探る」(http://www.kaiyouhaku.com/news/07020401_01_event.html)に参加しました.23,24日は研究発表20題,25日が一般講演3題で,その多くが深海性魚類についての発表でした.私の研究対象はアザラシなどの海棲哺乳類であるため,深海生物とは結びつきにくいかと思いますが,摂餌回遊中,絶え間なく400m以上潜る”Deep diver”として中深層の餌生物を利用するキタゾウアザラシの話をすることにしました.私の他にも,海棲哺乳類チームとして,内藤先生(バイオロギング研究会),Patrick Miller博士(Sea Mammal Research Unit)が参加しました.

 本シンポジウムは,同時通訳がつくため,21日の夜から沖縄入りし,22日に講演者と通訳のミーティングが入る,というスケジュールでした.同時通訳がつくというのは初めてだったので,どんなミーティングになるのだろうと思っていたのですが,今回のシンポジウムでは,全く分野の異なる人々の前で発表するということで,なるべく専門的な話はせず,一般的な用語をなるべく使うようにしたためか,ミーティングはすんなりと終わりました.

 翌日から始まった研究発表では,深海生物の分類や生態,行動などについて様々な知見が発表されました.分類については,まだまだわからないことが多く,ニュージーランドのプロジェクトでは,調べれば調べるほど新種の数が増えていくという状況だそうです(Clive Roberts博士,ニュージーランド国立博物館).また,近年では,遺伝子を調べることにより,深海生物の起源と進化についても新たな知見が続々と加えられ,系統樹が整理されつつあり(宮正樹博士,千葉県立中央博物館),深海魚は系統樹の様々な場所にいることなどが興味深かったです.

 生態・行動研究については,ノルウェー海洋生物研究所のFranz Uilein博士による,深海生物の行動調査手法?1)機能形態,2)フィールドサンプリング,3)音響,4)In situ観察,5)Ex situ観察?に従って,いくつかの発表を紹介したいと思います.

1) 機能形態?生物を分類するときの副産物として得られることが多く,生物の行動戦略を明らかにできる

・ Franz Uilein博士(ノルウェー海洋生物研究所):Neobythites(シオイタチウオ属)のある種において,背びれにある黒斑が成熟するにつれ濃くなること,未成熟個体は水深800mに生息し,成熟個体は浅いところに生息することがわかっている.深海では光が届かず体が見えないのに対し,成長につれて浅海に移動すると,見えるようになることから,擬態しているのではないかと考えられる.

・ 仲谷一宏博士(北海道大学):世界で38例しか報告のないメガマウスの摂餌行動について.同じプランクトン食であるウバザメは鰓が巨大であり,口を大きく開ける「すくい取り型」,ジンベエザメは鰓が大きく「吸い込み型」である.一方,メガマウスは鰓が小さく,口腔の長さがとても長いこと,巨大な舌とOral Valveを持ち,口を開くと顎が前にも横にも突出すること,皮膚が良く伸びて,舌弓が長いという特徴がある.もしメガマウスが「すくい取り型」だったら,鰓が小さいのでオーバーフローしてしまう.また「吸い込み型」だったら,口が大きすぎて効率が悪い.喉の部分の皮膚がゴム状で,網目状模様(鱗がないところが線になっている)があることから,ナガスクジラ類のような「飲み込み型」ではないかと考えられる.

2) フィールドサンプリング?鉛直移動や水平移動,長距離の回遊などの知見を得ることができる

・ Tracey Sutton博士(ハーバーブランチ海洋研究所):大西洋中央海嶺の生態について,プランクトン,無脊椎動物から海鳥,クジラまでを調査するMAR-ECOというプロジェクトでは,海嶺と中深層生態系との関係を調査している.海嶺海域における深層は表層よりabundanceは小さいが,バイオマスでは多い.また,海嶺付近でとらえられた魚は成魚が多かったことから,海嶺が産卵場となっているのか?が次のテーマだとのことで,大変興味深い.

3) 音響?ソナーによる鉛直・水平方向の調査

・ Tracey Sutton博士(ハーバーブランチ海洋研究所):前述のMAR-ECOでは,ソナーでも調査しており,夜には表層に上がってくる生物が,昼になると深いところに行くが,その沈降速度によって二層に分かれることがわかっている.

4) In situ観察?深海を潜水艇や長期観測ステーションなどによって,直接観察することにより,生態や行動(遊泳速度など)が明らかとなる

・ Bruce Robison博士(モントレー水族館研究所): ビデオカメラ,吸引サンプリング装置を備えたROVを用いてモントレー湾の深海生物を調査している.ビデオカメラによる観察により,ROVが近づくと目を近づけて望遠鏡のように見るイカや,蛍光物質をはき出すことにより煙幕を張るイカ,目が上を向いている魚など,様々な生物の生態と行動が明らかになっている.

・ 藤倉克則博士(JAMSTEC):相模湾1200mにおける深海性二枚貝シロウリガイ類の繁殖生態について長期観測ステーションにより観察.水温が0.2度ほど上昇すると,管を振り回して広範囲に放精し,画面一面が真っ白になる様子や, その後,ある条件が整うと約10分以内に卵を出す様子も記録されている.

・ 窪寺恒己博士(国立科学博物館):静止画像データロガーやビデオカメラにより中深層性大型頭足類の行動観察をおこなっている.ビデオカメラでは,ヒロビレイカが,外套膜を鳥のように羽ばたかせて泳ぎ,餌に襲いかかる前に発光する様子が記録されていた.

5) Ex situ観察?飼育による観察

・ 佐藤圭一博士(沖縄美ら海水族館):深海から釣り上げた魚をいかに水族館で長期飼育するかについて,深海魚の減圧症(ヒレの先端(血管が細くなっているところ)が壊死してしまう,肝臓の組織が壊れて油の粒が出てしまう)の回避のために再加圧する手法などが発表された.

・ 三輪哲也博士(JAMSTEC):深海生物を急に引き上げるとき,1000mでとらえた魚は,300mより浅くなると下に泳ごうとし,200m以浅になるとノックダウン,100m以浅になると,腸内の餌が発酵して気泡になって出てくるなど,ダメージを与えてしまう.これを回避するため,高圧力生物飼育装置「ディープアクアリウム」を開発し,水族館での展示に用いている.

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 以上のような深海生物の行動調査手法の他に,「バイオロギング手法を用いた深海捕食者の行動から推測する餌生物の生態と行動」があるのではないか,と思います.今回のPatrick Miller博士(SMRU)の発表において,マッコウクジラは日暮れ時に深さ600mから400mまで探索行動する深度帯を上昇させますが,日暮れ後はその浮上してきた餌を追わず,また600mまで潜って探索することが発表され,日暮れ後に600mまで鉛直移動してくる餌の方が採餌効率の良いことが想像されます.こういった採餌行動がデータロガーの結果から見られる場合に,餌となる生物を研究する研究者たちと情報交換を活発にすることによって,さらなる知見の蓄積が期待できます.私にとっても,キタゾウアザラシが捕食していると言われているイカの映像を見られたことで,データロガーから得られるキタゾウアザラシの行動と,イカの行動とを併せて想像することができるようになり,大変有意義でした.このシンポジウムで,深海生態系の捕食者・被食者の研究者が一堂に会する機会を得ることができ,今後の研究において多くの強い味方を得ることができたことを,大変嬉しく思っています.

京都大学ICTイノベーション2007参加報告

2007年2月21日 報告者 安田十也(京都大学情報学研究科)

 2007年2月20日に京都大学において、京都大学ICTイノベーション2007(http://www.ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp/ICTI2007/)が開催され、京都大学情報学研究科と学術情報メディアセンターの教職員・研究者・大学院生のコンテンツが紹介された。ICTとは、Information and Communication Technology、いわゆる情報通信技術の略語である。会場には60を超えるブースが設けられ、ポスターによるプレゼンテーションを中心に、開発されたシステムのデモンストレーションを含めた最新の研究成果が紹介された。例えば、超低電力・高性能クラスタMegaPhoto?(学術メディアセンター・中島研究室)、顔パーツ間の動きのタイミング構造に基づいた微妙な差異を持つ表情の分析と認識(知能情報学専攻・松山研究室)、メガナビゲーション:都市における大規模避難誘導システム(社会情報学専攻・石田研究室)、オンチップ高速信号伝送技術の開発(通信情報システム・小野寺研究室)、衛星搭載用高性能GPS受信システムの開発、衛星測位精度の向上、測位情報を用いた地球環境監査技術の開発(通信情報システム・津田研究室)等が発表された。 各専攻・研究室の特徴がでるシステムが多数紹介される中、学術メディアセンター・中村研究室の小泉敬寛さんが発表した「ウェアラブルデバイスを用いた個人行動記録の取得と応用」は、センサを動物(人間)に装着する点でバイオロギングサイエンスに近く、興味深い内容だったので以下に概要を紹介したい。この研究では、頭にカメラを装着した人が、いつ、どこで、何をやったのかを映像で全て記録する。それとは別に、部屋にある物など周辺環境の位置と時間を捉えることで周辺環境の状況も、魚眼レンズをつかって録画する。映像として捉えた位置や時刻、注目シーンといった様々な記録を断片化して個人行動記録とする。しかし、この個人行動記録、自分が、いつ、どこで、何をやったのかを振り返るために、いちいち映像を見直していたら長大な時間がかかってしまう。つまり、膨大な個人行動記録映像から効率的に必要な情報を検索できなければ意味がない。そこで、このシステムでは、位置情報や画像の類似性(類似検索)に加えて、隣接関係に基づいた関連付け(関連検索)や、カメラ装着者と遠隔地にいる人との交信をインデックスに用いた検索機能を加えることで、効率的に必要な情報を抽出することを可能にしている。例えば、カメラのマニュアルがどこにあるか知りたい場合、冊子を検索キーすれば正解であるカメラのマニュアルが出力されるとは限らない。また、マニュアルがカメラの箱の中にある時など、検索キーを箱にするか冊子にするか判断できない場合もある。そこで、類似検索によって、ユーザの選択に応じた特徴量を基にして、必要な情報に似ている記録を、画像・記録した場所・時刻から検索する。同時に、類似検索で抽出されたものと関連の強いもの、例えばカメラの場合フィルムやマニュアルなど、とその場所を関連検索する。この時、もの同士と場所同士の関連性は、ユーザのジェスチャー(手にとって何かをしたなど)から推測する。このシステムは、個人行動記録から、ものやジェスチャーなど様々な領域を検出するが、実際の大規模な個人行動記録のなかでどれだけ有効な関連を検出できるのか十分に評価を進めていくことが必要と小泉さんは話す。 バイオロギングサイエンスにおいても、映像を含め深度や温度など様々なセンサデータが取得可能になった。この手法自体が比較的若いので今が情報を蓄積している最中であることや、電池や測器の大きさ・重さといった工学的な課題に取り組む必要があるため、現在のところ、個人の扱う情報量は手作業もしくは簡単なプログラムで抽出できる量にとどまっている。しかし、今後さまざまな動物・環境から情報が取得・共有されれば、大規模な情報から意味のある(調べたい)ものを抽出する技術が必ず要求される。バイオロギングサイエンスに応用可能な情報学分野の最新の研究成果を肌で感じることができた大変有意義なイベントであった。

「国際シンポジウム参加報告:The 3rd International Symposium on SEASTAR 2000 and Asian Bio-logging Science」

2007年1月9日 報告者:中西喜栄(いであ株式会社)

 10月初旬、ジュゴンプロジェクトでお世話になっている荒井先生(京都大学)とカンジャナ女 史(PMBC)より一本のe-mailが届いた。内容は、カンジャナ女史が荒井先生に宛てて送った 「中西さんを12月にバンコクで開かれる国際シンポジウムに参加させてみては?」との提案に対 し、荒井先生が「Nice idea!」と回答し、それを受けての参加依頼であった。

 荒井先生、カンジャナ女史とはこのプロジェクトを通じて知り合い、今では論文執筆を始め、 色々な面でお世話になっている大切な先生、先輩である。また、私は過去に調査報告を海洋理工 学会誌に投稿するものの、和文での投稿であったため、カンジャナ女史より「中西さん、日本語 ですか?私分からない。」と、なんとも流暢な日本語で指摘された苦い経験があった。したがっ て、我々(シーグラスチーム:本プロジェクトで海草調査を担当)の調査結果を、タイ側メンバ ーであるPhuket Marine Biological Center(PMBC)のスタッフに伝える責任は、私に重くの しかかっていた。このような中での依頼であったため、私にとっては願ってもないチャンスであ り、断る理由などどこにもなかった。

 しかし、いざ国際シンポジウムへの参加となると、私には経験がないばかりか、11月にはタイ とインドネシアへの出張を控え、一方で通常業務も抱える中、慣れない英語での講演要旨や発表 原稿をつくる作業は、骨の折れるものとなった。

 結局、納得のいくレベルに仕上がったかどうかは甚だ疑問であったものの当日を迎えた。シン ポジウムは、12月13〜14日にバンコク市内のSIAM CITY HOTELの立派な会議場を借りて行われ た。発表は、日本を始め、タイ、フィリピン、デンマーク、マレーシア等の研究者により、ジュ ゴン9題、魚類4題、ウミガメ14題、その他9題の計36題のいずれも最先端の興味深い内容であっ た。特に、バイオロギングに関する研究は、ウミガメや魚類等で盛んに行われており、私自身初 めて耳にするものであった。これらの研究は、今までほとんど分かっていなかった行動生態の領 域に新しい角度からアプローチでき、今後の測器の進歩に伴い、かなりの可能性を秘めた分野で あると感じられた。

 私の発表は、ジュゴンのセッションの最後に設けられ、座長は市川氏であった。発表は何度も 詰まりながら座長の助けも借りる等、お世辞にもスマートとは言えなかった。しかし、発表後、 着席した私に、カンジャナ女史が「OK!」サインを送ってくれた。どうやら私が伝えようとした 内容は、無事PMBCのスタッフに伝えることができた様である。この瞬間、私の肩の荷が少し下 り、僅かながら達成感を感じることができた。今回の発表は、私にとって大変貴重な経験とな り、大変勉強となった。

 今回、このような機会を与えていただいた荒井先生やカンジャナ女史には、この場を借りて改 めて深く感謝したい。(写真:わくわく日記より)

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近畿大学COE−瀬戸内町「クロマグロ・ジョイント国際シンポジウム」開催

2006年12月22日 報告者 坂本 亘 (近大水研)

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はじめに:最近ミナミマグロや大西洋クロマグロの漁獲制限強化の話題が、マスコミで取り上げられています。特に問題となっているのは、短期間で急激に成長する天然幼魚を大量に捕獲して生簀に活け込み、半年から1年後に出荷するいわゆる蓄養漁業です。この方法では出荷時の個体数は把握できますが、蓄養過程での死亡数や最初に活け込む個体数が正確に把握できないことが大きな問題です。天然資源を若齢期に大量に捕獲するため、これによる再生産や資源減少が予想されることも影響して、天然資源の大幅な漁獲削減が提案されました。そんな中、平成18年11月11~12日鹿児島県大島郡瀬戸内町でクロマグロに関する国際シンポジウムが開催されました。参加国は7カ国、参加者は総勢208名(外国人16名)でした。このシンポジウムは近畿大学COEプログラム「クロマグロ等の魚類養殖産業支援型研究拠点」と瀬戸内町「町制50周年記念事業」とが連結した型で行われたもので、副題を“クロマグロ研究拠点と町おこし”と題しました。平成17年春から町の商工水産・企画課担当者と近畿大学COE国際シンポジウム実行委員会が相談して準備は始まり、私は実行委員長をおおせつかり、調整役を務めました。  奄美群島は昭和20年(1945)日本敗戦と同時に米軍政下に置かれた後、昭和28年(1953)日本に復帰しています。瀬戸内町はこの奄美大島南端部に位置し、昭和31年(1956)実久村、鎮西村、西方村、古仁屋町が合併した町で平成18年(2006)町制50周年を迎えました。奄美大島では近年、クロマグロを中心とした養殖業が発展し、養殖クロマグロ生産についてみると現在日本全体の60%以上を占めるに至っています。特に瀬戸内町には、クロマグロ研究機関である水産庁所管の独立行政法人水産総合研究センター奄美栽培漁業センターや近畿大学水産研究所奄美実験場があるほか水産大手二社のマグロ養殖場があり、養殖ふ化親魚から採卵して、再度親魚を育てる完全養殖クロマグロも育成され、町産業の中で大きな役割を果たしています。いずれは、この方法を広く普及させて、天然資源への負担を軽減することが必要でしょう。  しかし多くの日本人と同様町の人々は食料としての魚の味にはうるさいけれど、海での養殖はどのようにして行われているのか、あるいは海洋生物はどのように生活し、どこを回遊するのかなど、見えない水中の生物については殆んど知る機会がありません。このことは養殖業に携わる科学者はもちろん生産現場、流通業界にとっても見逃すことのできない問題であろうと思われます。そこでCOE研究拠点形成と町制50周年を記念して、町の重要産業であるクロマグロ養殖の実態を見てもらうこと、現在直面しているクロマグロの様々な問題について国際的に著名な研究者、養殖に携わる方、水産行政担当者、そして一般町民が合同でマグロを語る機会を作りました。  そのため“マグロを語ろう!”ジョイントシンポジウムは、3部構成になりクロマグロを中心としたA)瀬戸内町周辺の養殖場見学、B)国内外の著名な研究者による生態と養殖に関する国際シンポジウム、C)町主催の産官学合同のシンポジウム「クロマグロ養殖の現状と将来展望」となりました。それぞれの催しについて、順を追って説明します。

A)養殖場見学:11月11日および13日の午前中はそれぞれ、町民およびシンポジウム参加者によるクロマグロ養殖施設[水研センター、近大奄美実験場、奄美養魚(マルハ)、? 拓洋]見学があり、実際の養殖現場やふ化場を見て もらいました。参加者延べ総数は約350名で、それぞれの漁場には港からいくつかのグループを作って送迎し、養殖場では係りの人から説明を受けた後、給餌の様子を見学してもらいました。クロマグロが巨体をくねらせて水面に浮上して摂餌する様子に、多くの人が驚いていました(写真上)。

B) 国際シンポジウム:11日午後から12日午前にかけて瀬戸内町JA会館で「クロマグロの生態と養殖」と題する国際シンポジウムが開催されました(写真右下)。講演者は国外研究者3名、国内研究者8名で講演と質疑応答は英語で行われました。完全養殖を軌道に乗せるには、いくつかの技術的難問を解決しなければなりません。それらは、 1) 産卵時期の予測と産卵個体識別:クロマグロは群で行動しているので採卵準備を始める時期・個体を予測できれば、効果的に採卵が可能となる 2) 種苗安定生産と供給:ふ化仔魚の浮上死・沈降死防止 3) 初期減耗率低減:幼漁期の生簀壁衝突と共食い防止 4) 餌経費の節減と魚病対策:生魚を餌としているので高価格、魚病も発生しやすいので、人工飼料開発が必要などです。  シンポジウムでは、最初に基本的な大規模回遊を行うクロマグロの海洋での行動や生態について、バイオロギング研究会員の北川博士から講演と討論が行われ、その後養殖に関する初期減耗率の低減、産卵促進、生簀の規模と行動、人工飼料、流通、クロマグロ養殖に関する世界的動向、などが議論されました。そしてシンポジウム終了後には町の方々も参加した懇親会が開催され、そこではシンポジウム会場で討論し切れなかった話題について議論が弾むとともに、養殖クロマグロの試食や島唄によるアトラクションなど、飲み放題の島焼酎を片手に様々な催しがあり、参加者は夜遅くまで堪能していました

C) 町主催“クロマグロ養殖の現状と将来展望”:11月12日午後には地元漁協、水産庁、県水産担当者、研究者による産官学クロマグロの生産、流通、将来性と町への影響等が熱く語られました。それぞれ立場の違いによって考え方やクロマグロ産業についても見方が違うことが分かり、大きな成果が得られました。一般町民からもいくつか意見が述べられました。その中で、“島には古くから清澄な海という観光資源がある。養殖業の発展は町の経済的活性を促進すると思われるけれど、水質・底質汚染による清澄な島の海環境を損なうことの無いよう工夫し続けてほしい”という意見が印象的でした。

おわりに:まったく性格の異なる2つの事業体である大学と町が、同じ話題でジョイントシンポジウムを試みるのは初めてであり、運営には多くの不安がありました。とくに奄美大島は都心と比べて交通が不便なため、参加者には多くの不便をおかけしたように思います。しかし、研究者に実際の養殖現場を見てもらいながら議論し、町民にも養殖業の一端を知って議論に参加してもらったことは意義があったと思われます。多くの参加者や国外研究者から、この試みをもう一度実施してほしいという要望を聞いて、まずは成功したのではないかと思っています。

第17回日本ウミガメ会議(熊野・七里御浜会議)

2006年12月27日 報告者 楢崎友子(東京大学海洋研究所)

2006年11月18〜20日、三重県の熊野市・御浜町・紀宝町の3市町合同で開催された第17回日本ウミガメ会議(熊野・七里御浜会議)に参加してきました。毎年秋に開催される本会議には今年も日本各地から研究者、ボランティア、水族館関係者など様々なウミガメ関係者が集い、口頭26題、ポスター23題の合計49題の発表が行われました。発表内容は、各地の産卵状況、漂着状況、放流個体の再捕状況の年間報告から、混獲調査、遺伝的手法を用いた個体群解析、飼育個体を用いた生理学的研究、付着動物の研究や考古学的研究に至るまで多岐にわたりました。また今回はブラジルとメキシコからもウミガメ保全団体の方々が多数参加され、太平洋アカウミガメの保全には国際的な協力が必要であると訴えました。今年は日本各地でアカウミガメの産卵数が減少したとの報告もあり、絶滅危惧種であるウミガメ類の保全について考えさせられました。

バイオロギング関連では、インドネシア共和国イリアンジャヤ州で産卵するオサガメを衛星追跡した結果、産卵上陸する海岸によって異なる回遊経路を持つ事が明らかになったという口頭発表がありました。ポスター発表では、衛星追跡によって得られた日本近海のアカウミガメの回遊経路と海流の関係を調べた研究がみられました。また筆者も加速度データロガーを用いて調べた岩手県沿岸域に来遊するウミガメの潜水行動に関するポスター発表を行いました。

会議期間中あいにく天候には恵まれませんでしたが、名産である甘いミカンの食べ放題、懇親会での郷土料理の数々など開催地の皆様のあたたかい歓迎のもと、終始なごやかな会議となりました。様々な分野で活躍する国内外のウミガメ関係者との交流をはかり、楽しく有意義な時間を過ごす事ができ、研究に対する意欲がより一層高まりました。

ウミガメ公園.jpg

会場近くの道の駅にて。筆者は左から2番目。

第3回SEASTAR2000及びアジア・バイオロギング・シンポジウムの開催

2006年12月23日 報告者 荒井修亮(京都大学情報学研究科)

 12月13-14日にバンコクにおいて、表記国際シンポジウムを開催しました。バイオロギングをテーマに加えてから3回目ですが、実質的には7回目の国際会議です。アセアン諸国と日本の10カ国並びに東南アジア漁業開発センターや国連などの国際機関などから約80名の参加者が集まりました。発表論文36編でその内訳は、ジュゴン関連9編、魚類関連4編、ウミガメ関連14編、その他9編でした。来年はプーケットで開催することになりそうです。次回も是非、多数ご参加下さい。

SEASTAR061213_0067.JPG

その他の写真はこちらをご覧下さい。

http://ameblo.jp/wakuwaku-diary/entry-10022016692.html

http://ameblo.jp/wakuwaku-diary/entry-10022018374.html

TECHNO-OCEAN 2006/ 19th JASNAOE Ocean Engineering Symposium

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2006年10月21日 報告者 天本奈々子 (京都大学農学部)

 先日2006年10月18日(水)から20日(金)にかけて神戸国際展示場においてテクノオーシャン 2006が開催された。

 この展示会で我が研究室は、ジュゴンの生態調査に使用している自動水中音響録音システムの開発者である(株)システムインテックと共同でブースを出展した(図1,図2fileテクノオーシャン8238.bmp)。私も一日だけお手伝いを兼ねて参加したのでそこでの体験を報告する。

テクノオーシャン8236.JPG  図1

 テクノオーシャンは海洋科学技術や海洋調査・観測、環境、水産、エネルギー、港湾・海岸などの空間利用といった分野の最先端技術の利用と開発に携わる者が、国際レベルでの情報交換を行うことを目的として開催される国際コンベンションである。

 水中環境観測機器開発を行っている企業やそれらの機器を利用して研究を行っている企業、また堤防や港湾設計・建設を行う企業、造船会社など海・河川に関わる幅広い分野からの出展があった(図3,4,5,6)。また、企業だけでなく、大阪大学や東海大学などの海洋に関係する大学研究機関からの出展もあった。

テクノオーシャン8219.JPG テクノオーシャン8229.JPG テクノオーシャン8204.JPG テクノオーシャン8212.JPG

図3       図4       図5           図6

 さまざまな機器が展示されており、機械に弱い私としては初めはとっつきにくい印象を受けたが、どのブースの担当者も質問に対し丁寧に答えてくださり大変興味深い話を聞くことができた。その中から2,3紹介しよう。

 最も広いブースを占有していた(独)海洋研究開発機構(図7fileテクノオーシャン8221.bmp)は、様々な機器や研究の紹介を行っていたが、圧巻はトライトンブイで、高さ約5mの本物の巨大なブイが展示されていた。このブイを用いてアメリカと協力して海洋観測係留ブイネットワークを赤道上に構築し風向、風速、気温、湿度、気圧、CTD、流速等を常時計測しており、これらのデータはWeb上で公開され誰でも無料で利用できるようになっているという(http://www.jamstec.go.jp/data_site/)。また数ヶ月かけて地球海底を数千m掘削し、コアサンプルを採集する約57000tという巨大な船(地球深部探査船「ちきゅう」)の模型や実際のコアサンプル、掘削の仕組みについての説明が展示されていた(図8,9,10)。

テクノオーシャン8240.JPG テクノオーシャン8241.JPG テクノオーシャン8243.JPG

図8         図9         図10

  他にも、深海生物捕獲飼育装置(図11,12,図13fileテクノオーシャン8200.bmp)や海底での作業や環境モニタリングを行う浅海用ROV(有索無人探査機)(図14)などの展示があった。

テクノオーシャン8199.JPG テクノオーシャン8201.JPG テクノオーシャン8193.JPG

図11          図12          図14

また、超音波ドップラーを用いた流行流速計測機器(ワイエスアイ・ナノテック(株))(図15fileテクノオーシャン8230.bmp)や、遠隔地から映像による水中の探査を可能とする小型海底探査機(図16fileテクノオーシャン8192.bmp)、海底地形をマッピングするためのマルチビーム音響測深装置(日本海洋(株))などについて説明をしていただいた。              

 これまで、どのようにして機械がざまざまな情報を収集しているのかという仕組みについて考えたことがなかったため、説明を聞き今日の技術の発展を知り大変感心してしまった。海棲生物の生態研究は、このような技術の発展なしには成し得ず、また研究に用いる機器の仕組みや性能、限界について知っておくことで適切な利用や解析が可能になると考えられる。今回、テクノオーシャンに参加したことは海棲生物の生態研究に用いられる機器の仕組みについて知る貴重なきっかけとなった。

  

第2回日本バイオロギング研究会シンポジウム

2006年10月17日 報告者 塩見こずえ (京都大学農学部)         

2006年10月7日、慶応大学三田キャンパスにて日本バイオロギング研究会第2回シンポジウムが開催されました。

BLS061007_0034.jpg(撮影:荒井修亮先生)    

今回のシンポジウムでは「宇宙(そら)から観たクジラの水中生態」をテーマに、衛 星やロガーによる鯨類・ジンベエザメの潜水行動追跡について講演が行われました。 あんなに大きな鯨類に、ロガーを装着するのがとても難しいということが印象的でした。   また午後の一般講演では、鯨類だけでなく様々な生物の行動をデータロガーによって 調べた研究の発表を聞くことができました。今回、バイオロギングのシンポジウムに 初めて参加してみて、ロガーから得られたデータは視点を変えて見ることで色々なこ との解明につながる可能性を持っているんだと感じました。

BLS061007_0052.jpg BLS061007_0082.jpg(撮影:荒井修亮先生)  

私は、一般講演の部で「エンペラーペンギンの3次元行動解析」というテーマで発表 させていただきました。きれいな会場と巨大な画面にかなり浮ついてしまい、緊張の しすぎで息継ぎのタイミングがわかりませんでした。そのため発表中に自分が 何を話していたのかはあまり覚えていませんが、発表後やナイトセッションでたくさ んのコメントやアドバイスをいただくことができ、今後の課題を見つけることができ ました。生物学だけでなく工学を専門としておられる方からもアドバイスをいただけ たのは、バイオロギングのシンポジウムならではだと思います。有意義な時間を過ご させていただき、本当にどうもありがとうございました。

  • 次は塩見さんの発表の時に、ロガーを装着して呼吸数とタイミングの計測をしましょう!お疲れ様でした。 -- bream? 2006-10-17 (火) 19:29:34
  • ぜひ鼻息の強さも測りたいですね…スライドの切り替え時が最大になると思います。コメントどうもありがとうございました! -- shio? 2006-10-20 (金) 09:44:05

Oceans’06 IEEE Asia pacific ocean -Singapore-

2006年6月14日 報告者 奥村直子 (京都大学大学院情報学研究科)

2006年5月16〜19日までの4日間、シンガポールにてオーシャンズ’06(Oceans’06 IEEE Asia pacific ocean -Singapore-)が開催されました。本シンポジウムは主に海洋技術および海洋科学の分野を専門にしています。会場はシンガポールの中心部、ラッフルズ・シティ・ショッピングセンター内にあるスイスホテル・ザ・スタンフォードでした。70階以上の高層ビルでとてもきれいな会場でした。

今回のシンポジウムにおける参加者数は日本が開催地のシンガポールを上回る45だったそうです。アジア系・インド系の参加者が多かったような印象でした。口頭発表は168件あり、36ものセッションに分けて行われました。そのため、幅広い分野の発表がされていました。例えば津波警報システムの開発に関する研究やリモートセンシング技術を用いて海面上の動きを把握するPort Mapの紹介などがされていました。

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写真は学生のポスター発表の会場です。 学生ポスター発表は合計で14件でした。

私がジュゴン鳴音の発声パターンに関する研究を発表したBioacousticsのセッションでは生物音響学に関する発表が行われました。研究対象としてはクジラや動物プランクトンがありましたが、ほとんどがイルカでした。生物の機能に迫る基礎的な行動生態学的な研究から生物の機能を活かして社会に役立てようとする応用的な研究まで幅広い発表が行われていました。

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口頭発表する筆者です。(撮影:赤松友成博士)

慣れない国際学会での発表ということでかなりの緊張と不安を抱えて臨むことになりましたが、このシンポジウムに参加し、国内外の研究者と話を交わすことで多くの刺激を受けることができました。これは今後の研究生活にとって大きな収穫でした。

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会場近くにいた、シンガポールのシンボル・マーライオンです。

26th Annual Symposium on Sea Turtle Biology and Conservation

2006年4月15日 報告者 奥山隼一 (京都大学大学院情報学研究科)

2006年4月3〜8日に、ギリシャ・クレタ島で開催された第26回国際ウミガメシンポジウムに参加してきました。このシンポジウムは、毎年1回世界のウミガメ関係者が集い、ウミガメ類の生物学研究、さらには世界・地域レベルでのウミガメ類の保全プログラムの検討、報告を行う集会です。今年は例年より遅い時期、クレタ島という交通の便の良くない場所で開催されたにも関わらず、476件の発表が行われ、2000人以上の参加者が集まりました。日本人の参加者は少なく、海外で研究されている方を含めても10名程度でした。

ウミガメ業界は、古くからフィールドが整っていることと、資金力があるという点で、アメリカの研究グループが良い研究をしています。発表は、人工衛星送信機によるウミガメの回遊経路解析とリモートセンシングによる海洋環境データ、DNA、アイソトープを組み合わせた研究が大半を占めていました。

バイオロギングの分野で言うと、S.Eckert博士らアメリカの研究グループがSatellite Relay Data Logger(SRDL)を用いて、17頭の世界最大のウミガメ、オサガメの産卵後の回遊行動と潜水行動に関する研究を発表していました。切り離し装置を用いたデータロガーの回収も、各地で行われ始めています。ロガーは深度センサのみ、切り離し装置の浮力体もウミガメの浮力調節に影響を与えてそうなものではあるのですが、きちんとデータは取っていました。ウミガメの回遊・潜水行動の研究で有名な欧州の研究グループも切り離し装置を既に開発しているという話でしたので、来年の会議では切り離し装置を使ったデータを出してくるでしょう。また、ウミガメ亜成体の場合、超音波テレメトリーを組み合わせることで、ロガーを装着した個体を直接捕獲するという手法が可能なのですが、この手法も随分使われていました。

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SRDLを使ったオサガメの回遊・潜水行動解析に関して議論を行うS.Eckert博士ら

このシンポジウムは、参加した学生には旅費と滞在費を少しサポートしてくれるので、学生にとっては参加しやすいものです。その際、学生同士のホテルは相部屋になりますので、若いうちから世界の色々な研究者と仲良くなれるというのが、非常に良い点です。

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懇親会で、カリブ海周辺国の方々と。筆者は右から一番目

今回のシンポジウムでは、海外の著名な研究者とディスカッションをすることができました。これらの話合いを通じ、世界における自分のレベルを認識することができ、自分の研究に対しても自信を持つことができました。随分ウミガメやバイオロギングのことが分かってきたと思う反面、世界最先端の研究をするという難しさも実感した学会でした。

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  • いやあ、見事な景色。これは夕日ですか? -- N.? 2006-04-18 (火) 22:45:32
  • スニオン岬に沈む夕日でございます。ポセイドン神殿をバックに撮りました。 -- JO? 2006-04-19 (水) 01:19:04

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Last-modified: 2013-02-25 (月) 17:11:26 (1671d)