バイオロギング&テレメトリー(過去の研究)

京都大学大学院 情報学研究科 社会情報学専攻 生物圏情報学講座
Graduate School of Informatics, Kyoto University
Department of Social Informatics
Biosphere Informatics Lab.

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シロクラベラ人工種苗が捕食される要因の解明と放流技術への応用に関する研究

blackspottuskfish.jpgシロクラベラ (Choerodon schoenleinii)漁業資源の回復・管理を目的として、世界各国で人工生産された魚(人工種苗)の放流が行われています。しかし多くの場合、人工種苗は放流直後に捕食者に食べられてしまい、資源量の増加に寄与できておりません。
  本研究では、亜熱帯海域の高級魚であるシロクラベラをモデルとして、(1)人工種苗はなぜ食べられるのか、(2)どうすれば食べられなくなるのか、を明らかにすることを目的としています。私達は、バイオテレメトリー・潜水による野外での現象記述と水槽・野外での実験を適切に組み合わせて、この課題に取り組んでいます。これまでに、①シロクラベラは岩などの硬い基質の下を掘って隠れ家を作ること、②その隠れ家の利用が被食回避に有効であること、③放流前にシロクラベラを基質に慣らすことで隠れ家を作らせることが可能であり、放流後の生残率が向上すること、④同種他個体が捕食者に食べられる現場を経験させることで捕食者回避能力が向上すること、等を明らかにしました。

受動的音響観察手法を用いた揚子江に棲息するスナメリの行動生態研究

CIMG0333.JPGスナメリ 0807.JPG揚子江での調査風景Atag定点用.jpgA-tag (定点用)

  人間と行動圏を共有する動植物は、人間の社会経済活動の影響を大きく受けます。沿岸、河川域に生息する小型鯨類もその一つで、多くの種が絶滅の危機に瀕しています。生態情報に基づいて、適切な保全管理を行わなければなりません。
  本研究では、A-tagと呼ばれる音響機材を使い、中国揚子江中流域-ポーヤン湖接続域に生息するスナメリに、二つの受動的音響観察手法を応用して、その生態を調査しています。一つは定点式音響調査です。A-tagを固定して沈め、長期間の観察によって個体数密度変化を調べています。もう一つは曳航式音響調査で、調査船の後方からA-tagを曳航することで、個体群内の個体分布を広域的に調べています。これまでに密度や分布が季節的に変化することがわかってきました。


ニホンザルの農村依存と農業被害の実態

IMG_1625.JPG農村に出没するニホンザル                                             中山間地域に代表されるわが国の農山村では、近年高齢化、過疎化が進む中で、野生鳥獣による農業被害が深刻な問題となっている。全国における野生鳥獣による農業被害は、1980年代から一部の野生鳥獣の個体群増加とともに激化し、2000年をピークに、その後高い水準で推移してきた。農山村にとって、このような被害の発生は地域の営農意欲を低下させる一因となり、耕作の放棄、地域の衰退にもつながっている。有害鳥獣による被害の中でも、ニホンザルによる被害は、近年人間生活域である集落内で拡大しているといわれている。集落内での被害の拡大の要因として、ニホンザルが「人慣れ」し、集落への依存が高まっていることが考えられる。

  本研究では、ニホンザルのテレメトリー調査と被害実態の調査からニホンザルの農村依存がどのように起きているのか、また過去の土地利用状況の調査を通して被害がどのように変遷してきているかを明らかにする。


オオミズナギドリの鳴音解析と生態研究への応用

P5220029.JPGオオミズナギドリ         (Calonectris leucomelas)
海鳥の一種であるオオミズナギドリは日本沿岸全域に生息しています。そのため彼らの生息数を調査していくことで日本沿岸の汚染度が間接的に調べられるのではないかといわれています。
  現在オオミズナギドリを対象にして様々な調査が行われていますが、鳴き声を調査した研究はあまり進んでいません。
  本研究ではオオミズナギドリの鳴き声に焦点を絞り、鳴き声の特徴や鳴き声を用いた生息数調査方法について研究しています。


雛鳴き.jpgソナグラムで見る雛鳥の鳴音